本記事は「これなら分かる!はじめての数理統計学」シリーズに含まれます。
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ガンマ関数の定義
正の実数$x$について,次の広義積分で定義される複素関数
\Gamma(x) &= \int_{0}^{\infty} t^{x-1}e^{-t}dt
\end{align}
をガンマ関数と呼ぶ。
本稿では,ガンマ関数の元として実数の場合のみを扱います。積分による表現では,実部が正となる複素数まで拡張することができます。さらに,以下で説明する解析接続により全ての複素数に拡張することもできます。また,ガンマ関数の一般化として不完全ガンマ関数もあります。
性質
ガンマ関数は数理統計学の分野において,非常に重要な役割を果たします。具体的には,以下で説明する性質をおさえておくようにしましょう。
代表的な値
ガンマ関数$\Gamma(\cdot)$に対し,
\Gamma(1) &= 1 \\[0.7em]
\Gamma\left(\frac{1}{2}\right) &= \sqrt{\pi}
\end{align}
が成り立つ。
階乗の一般化
任意の正の整数$n$に対して,以下が成り立つ。
\Gamma(n+1) &= n\Gamma(n)
\end{align}
したがって,以下が成り立つ。
\Gamma(n+1) &= n!
\end{align}
ベータ関数との関係
ベータ関数は,ガンマ関数を用いて以下のように表される。
B(a,b) &= \frac{\Gamma(a)\Gamma(b)}{\Gamma(a+b)}
\end{align}
ガンマ分布との関係
ガンマ分布とガンマ関数の関係は以下で表される。
\int_{0}^{\infty} x^{n-1} e^{-\lambda x} dx &= \frac{\Gamma(n)}{\lambda^{n}}
\end{align}
多重積分による表現
以下の多重積分は,ガンマ関数を用いて表すことができる。
\int_{D} x_1^{\alpha_1-1} x_2^{\alpha_2-1}\ldots x_K^{\alpha_K-1} dx_1\ldots dx_{K-1}
&= \frac{\Gamma(\alpha_1)\ldots \Gamma(\alpha_K)}{\Gamma(\alpha_1+\ldots+\alpha_K)}
\end{align}
ただし,$k=1,\ldots,K-1$に対して,
p_k &\geq 0 \label{inq} \\[0.7em]
\sum_{k=1}^{K} p_k &= 1 \label{sum}
\end{align}
であり,$D$は式($\ref{inq}$)かつ式($\ref{sum}$)を満たす$p_1,\ldots,p_{K-1}$の積分範囲を表す。
解析接続
ガウスによる無限乗積表示
ガンマ関数は,以下のように無限乗積を用いて表すことができる。
\Gamma(x) &= \lim_{n\rightarrow \infty} n! n^{x} \prod_{m=0}^{n}\frac{1}{x+m}
\end{align}
ただし,$x\neq0,-1,-2\ldots$である。
Weierstrassによる無限乗積表示
ガンマ関数は,実数$x$を用いて以下のように無限乗積で表すことができる。
\frac{1}{\Gamma(x)} &= xe^{\gamma x}\prod_{n=1}^{\infty}\left( 1+\frac{x}{n} \right) e^{-x/n}
\end{align}
ディガンマ関数の無限級数表示
ディガンマ関数$\psi(x)$は,以下のように無限級数で表すことができる。
\psi(x) &= -\gamma + \sum_{n=0}^{\infty}\left( \frac{1}{n+1}-\frac{1}{x+n}\right)
\end{align}
ただし,ディガンマ関数$\psi(x)$とオイラー定数$\gamma$は以下のように定義される。
\psi(x) &= \frac{d}{dx} \log \Gamma(x) \\[0.7em]
\gamma &= \lim_{n\rightarrow \infty}\left(\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k}-\log n\right)
\end{align}
ポリガンマ関数の無限級数表示
ポリガンマ関数$\psi^{(m)}(x)$は,以下のように無限級数で表すことができる。
\psi^{(m)}(x) &= (-1)^{m+1}m!\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{(x+n)^{m+1}}
\end{align}
ただし,$\psi(x)$はディガンマ関数を表し,$m \in \bbN$とする。
参考文献
本稿の執筆にあたり参考にした文献は,以下でリストアップしております。
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