本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
行列式の性質
$n$次正方行列$A$の行列式$\det (A)$は以下の性質をもつ。
- $A$が正則ならば$\det(A^{-1})=\det(A)^{-1}$ [証明]
- 第$i$列と第$j$列を入れ替えた行列$A^{\prime}$に対し$\det (A^{\prime})=-\det (A)$ [証明]
- 第$i$列に第$j$列の$c$倍を加えた行列$A^{\prime}$に対し$\det (A^{\prime})=\det (A)$ [証明]
- 第$i$列と第$j$列が等しければ$\det (A)=0$ [証明]
- $n$個の列ベクトルが一次従属ならば$\det (A)=0$ [証明]
- $\det (A)=0$ならば$n$個の列ベクトルが一次従属 [証明]
- $n$次正方行列$B$に対し$\det (AB)=\det (A)\det (B)$ [証明]
- $\det (A)\neq 0$ならば$A$は正則 [証明]
- $A$が正則ならば$\det (A)\neq 0$ [証明]
- $\det(A)$は$A$のすべての固有値の積と等しい [証明]
- $\det(\oA)=\overline{\det(A)}$ [証明]
加えて,$\det(A)$は以下を満たす。
- $A$の転置$A^{T}$に対し$\det(A)=\det(A^{T})$ [証明]
したがって,列に関する$\det (A)$の性質は行に対しても成り立つ。
行列式は行列式写像の像ですので,行列式の性質は行列式写像の性質のことを指します。
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