本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
行列式の性質<積の行列式>
$n$次正方行列$A$の行列式$\det (A)$は以下の性質をもつ。
- $n$次正方行列$B$に対し$\det (AB)=\det (A)\det (B)$
行列式の性質一覧はこちらのページより確認できます。
証明
行列式写像を$B$の関数$D(B)$とみて
\begin{align}
D(B) &= \det (AB) \label{1}
\end{align}
D(B) &= \det (AB) \label{1}
\end{align}
とする。行列式写像の定義より$D(B)$は$n$重線型かつ交代的ですので,正規化条件を除いた行列式写像の性質より,
\begin{align}
D(B) &= \det(B)D(I_{n}) \label{2}
\end{align}
D(B) &= \det(B)D(I_{n}) \label{2}
\end{align}
が成り立ちます。ただし,$I_{n}$は$n$次単位行列を表します。いま,式($\ref{1}$)に$B=I_{n}$を代入すると$D(I_{n})=\det (A)$となりますので,式($\ref{2}$)に代入すると
\begin{align}
D(B) &= \det(B)\det(A)
\end{align}
D(B) &= \det(B)\det(A)
\end{align}
が得られます。式($\ref{1}$)より$D(B)$は$\det (AB)$を表していましたので,積の行列式は行列式の積で表されることが示されました。
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