本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
行列式の性質<固有値の積による表現>
$n$次正方行列$A$の行列式$\det (A)$は以下の性質をもつ。
- $A$のすべての固有値の積と等しい
行列式の性質一覧はこちらのページより確認できます。
証明
代数学の基本定理より,$\mC$上の$n$次元正方行列$A$の固有多項式は$n$個の解をもつので,それらを$\alpha_{1},\ldots,\alpha_{n}$とします。すると,以下の恒等式が得られます。
\begin{align}
\det(xI_{n}-A) &= (x-\alpha_{1})\cdots(x-\alpha_{n})
\end{align}
\det(xI_{n}-A) &= (x-\alpha_{1})\cdots(x-\alpha_{n})
\end{align}
$x=0$を代入すると,以下が得られます。
\begin{align}
\det(-A) = (-1)^{n}\det(A) = (-1)^{n}\alpha_{1}\cdots\alpha_{n}
\end{align}
\det(-A) = (-1)^{n}\det(A) = (-1)^{n}\alpha_{1}\cdots\alpha_{n}
\end{align}
したがって,
\begin{align}
\det(A) &= \alpha_{1}\cdots\alpha_{n}
\end{align}
\det(A) &= \alpha_{1}\cdots\alpha_{n}
\end{align}
が成り立ち,上の主張が示されました。
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