【徹底解説】座標ベクトルの定義

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

座標ベクトル

$\mK$は実数空間$\mR$または複素数空間$\mC$を表し,$V$を$\mK$上の$n$次元ベクトル空間とする。$\alpha=\{v_{1},\ldots,v_{n}\}$を$V$の順序基底とすると,$V$の任意の元$v$は順序基底$\alpha$の一次結合として一意的に

\begin{align}
v &= x_{1}v_{1}+x_{2}v_{2}+\cdots+x_{n}v_{n}
\end{align}

と表される。このとき,順序基底$\alpha$の標準基底$\{\ve_{1},\ve_{2},\ldots,\ve_{n}\}$を用いて表される

\begin{align}
\left[x_{1},x_{2},\ldots,x_{n}\right]^{T} &= x_{1}\ve_{1}+x_{2}\ve_{2}+\cdots+x_{n}\ve_{n}
\end{align}

を基底$\alpha$に関する$v$の座標ベクトルと呼び,記号$[v]_{\alpha}$と表す。

ベクトル空間や基底は座標とは切り離された概念ですが,順序基底を用いることでベクトル空間に座標ベクトルを定義することができます。

補足

順序基底$\alpha$と標準基底との対応は,線型写像の一意性より,$\mK$から$V$への同型写像$\varphi_{\alpha}$によって一意に定められます。

\begin{align}
\varphi_{\alpha}(\ve_{1})=v_{1},\quad\varphi_{\alpha}(\ve_{2})=v_{2},\quad\ldots,\quad\varphi_{\alpha}(\ve_{n})=v_{n}
\end{align}

このとき,座標ベクトルは同型写像$\varphi_{\alpha}$による$v$の逆像になります。

\begin{align}
[v]_{\alpha} &= \varphi_{\alpha}^{-1}(v)
\end{align}

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