本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
ベクトル空間
空でない集合$V$が以下の公理を満たすとき,$V$をベクトル空間という。
- 加法の公理
- $u+v=v+u$
- $(u+v)+w=u+(v+w)$
- $V$の中に$0$で表される$1$つの元があって,$V$の任意の元$v$に対して$v+0=v$が成り立つ
- $V$の任意の元$v$に対して,$v+v^{\prime}=0$となるような$V$の元$v^{\prime}$が存在する
- スカラー倍の公理
- $c(u+v)=cu+cv$
- $(c_{1}+c_{2})v=c_{1}v+c_{2}v$
- $(c_{1}c_{2})v=c_{1}(c_{2}v)$
- $1v=v$
ただし,$u,v,w$は$V$の任意の元,$c_{1},c_{2},c_{3}$は任意の実数である。
ベクトル空間は線型空間とも呼ばれます。
補足
加法の公理とは,ベクトル空間上の任意の元の対$(u,v)$に対して$u+v$で表される$V$の一つの元を対応付けることを指します。同様に,スカラー倍の公理とは,ベクトル空間上の任意の元$v$と任意の実数$c$に対して$cu$で表される$V$の一つの元を対応付けることを指します。これらを言い換えると,ベクトル空間$V$上の任意の元$u,v$の和$u+v$はベクトル空間$V$に属し,ベクトル空間$V$上の任意の元$u$と任意の実数$c$のスカラー倍$cu$はベクトル空間$V$に属することになります。
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