【徹底解説】ベータ分布と一様分布

本記事は「これなら分かる!はじめての数理統計学」シリーズに含まれます。

不適切な内容があれば,記事下のコメント欄またはお問い合わせフォームよりご連絡下さい。

目次

ベータ分布と一様分布

ベータ分布において,$a=b=1$とおくと$[0,1]$上の一様分布となる。また,$X_1,\ldots,X_n$が独立に一様分布$U(0,1)$に従うとき,$k$番目に小さい確率変数$X_k$はベータ分布に従う。

\begin{align}
X_k &\sim \Be (k, n-k+1) \label{順序統計量とベータ分布}
\end{align}

証明

一様分布がベータ分布の特殊な場合であることは簡単に示すことができます。ベータ分布において$a=b=1$とおくと,確率密度関数$f$は以下のようになります。

\begin{align}
f(x) &= \frac{1}{B(1,1)}\cdot 1
\end{align}

ただし,$B(\cdot)$はベータ関数です。ベータ関数はベータ分布の確率密度関数が積分して$1$となるような定数項として導入されたものですので,$B(1,1)=1$となります。したがって,$f=1$となりますが,これは$[0,1]$上の一様分布に他なりません。

続いて,後半部分を証明しましょう。順序統計量の確率密度関数に関する定理で,母集団が連続一様分布である場合を考えましょう。一様分布の累積分布関数と確率密度関数は以下のように表されますので,

\begin{align}
F(x) &= x \\[0.7em]
f(x) &= 1
\end{align}

第$k$順序統計量$X_{(k)}$の確率密関数は以下のように表されます。

\begin{align}
f_{X_{(k)}}(x) &= {}_{n-1} C_{k-1}~nx^{k-1}\left( 1-x \right)^{n-k} \\[0.7em]
&= \frac{n!}{(k-1)!(n-k)!} x^{k-1}\left( 1-x \right)^{n-k} \\[0.7em]
&= \frac{\Gamma(n+1)}{\Gamma(k)\Gamma(n-k+1)} x^{k-1}\left( 1-x \right)^{n-k} \\[0.7em]
&= \frac{1}{B(k, n-k+1)} x^{k-1}\left( 1-x \right)^{n-k} \label{Be}\\[0.7em]
\end{align}

ただし,ガンマ関数と階乗の関係ガンマ関数とベータ関数の関係を利用しました。式($\ref{Be}$)はベータ分布$\Be(k, n-k+1)$の確率密度関数ですので,式($\ref{順序統計量とベータ分布}$)が示されました。

参考文献

本稿の執筆にあたり参考にした文献は,以下でリストアップしております。

シェアはこちらからお願いします!

コメント

コメントする

※ Please enter your comments in Japanese to distinguish from spam.

目次