【徹底解説】確率積分変換とは

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確率積分変換

分位点関数$F^{-1}(x)$に対し,$[0,1]$上の一様分布に従う$U$を考える。このとき,$F^{-1}(U)$は$F$に従う。

「$F^{-1}(U)$は$F$に従う」というのは,一様分布に従う確率変数$U$の分位点関数$F^{-1}$による像は$F$に従うということを表しています。字面だけ見ると「$F^{-1}$は$F$に従う」と誤読してしまいそうになりますが,正しくは「$U$を$F^{-1}$で変数変換した確率変数は$F$を分布関数とする確率分布に従う」ことを表しています。また,分位点関数が一意に定まらない場合でも成り立ちます。

証明

$F^{-1}(u)$の分布関数と$F$が一致することを示します。分位点関数が一意に定まる場合,分位点関数の定義より$u=F(x)$が成り立ちますので,

\begin{align}
P(F^{-1}(U)\leq x) &= P(U\leq F(x))
\end{align}

が得られます。いま,一様分布の性質より$P(U\leq u)$は$u$で表されますので,

\begin{align}
P(U\leq F(x)) &= F(x)
\end{align}

が得られます。したがって,$F^{-1}(U)$の分布関数と$F$が一致しますので,$F^{-1}(U)$は$F$に従います。

分位点関数が一意に定まらない場合は,分位点関数の定義より下側確率に対する分位点関数$F_{L}^{-1}(u)$と上側確率に対する分位点関数$F_{R}^{-1}(u)$を考えます。$F_{L}^{-1}(U)$と$F_{R}^{-1}(U)$がそれぞれ$F$に従うことを示すことができれば,$F^{-1}(U)$が$F$に従うことが示されます。

参考文献

本稿の執筆にあたり参考にした文献は,以下でリストアップしております。

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