【徹底解説】多変量正規分布の4次モーメント

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多変量正規分布の4次モーメント

平均0の多変量正規分布N(0,Σ)に従う確率ベクトルを(X1,,Xn)とし,Xの要素の4次モーメントを考える。添え字i,j,k,lの重複有無にかかわらず

(1)E[XiXiXkXl]=σijσkl+σikσjl+σilσjk

となる。

共分散の定義を考えれば分かりやすい性質です。

証明

多変量モーメント母関数の性質より,モーメント母関数E[eθTX]のマクローリン展開におけるθiθjθkθlの係数がE[XiXjXkXl]の値となります。そこで,多変量正規分布のモーメント母関数をマクローリン展開します。

(2)E[eθTX]=1+θTΣθ/2+12!(θTΣθ/2)2+

θiθjθkθlが出現する項は,

(3)12!(θTΣθ/2)2=18(θTΣθ)(θTΣθ)

です。θ=(θ1,θ2,θ3,θ4)の場合にθTΣθの要素を書き下してみると,

(4)θTΣθ=(θ1,θ2,θ3,θ4)(σ11σ12σ13σ14σ21σ22σ23σ24σ31σ32σ33σ34σ41σ42σ43σ44)(θ1θ2θ3θ4)

となりますので,θTΣθからθ1θ2θ3θ4として構成するための項を二つ選ぶ際には「θ1θ2の係数はσ12」のように,θの添え字とσの添え字が全く同じものになります。これは共分散の定義からも明らかとも言えます。したがって,θTΣθからθiθjを選んだ場合の係数はσijとなります。

式(3)におけるθiθjθkθlの係数を求めます。θTΣθを二回掛け合わせてθiθjθkθlを完成させるためには,左側のθTΣθと右側のθTΣθで下表のように選んでいけばよいです。ここでは可読性向上のため,(i,j,k,l)(1,2,3,4)と表記します。

左側のθTΣθ右側のθTΣθθ1θ2θ3θ4の係数
θ1θ2θ3θ4σ12σ34
θ1θ2θ4θ3σ12σ34
θ2θ1θ3θ4σ12σ34
θ2θ1θ4θ3σ12σ34
θ1θ3θ2θ4σ13σ24
θ1θ3θ4θ2σ13σ24
θ3θ1θ3θ4σ13σ24
θ3θ1θ4θ2σ13σ24
θ1θ4θ2θ3σ14σ23
θ1θ4θ3θ2σ14σ23
θ4θ1θ2θ3σ14σ23
θ4θ1θ3θ2σ14σ23
θ2θ3θ1θ4σ23σ14
θ2θ3θ4θ1σ23σ14
θ3θ2θ1θ4σ23σ14
θ3θ2θ4θ1σ23σ14
θ2θ4θ1θ3σ24σ13
θ2θ4θ3θ1σ24σ13
θ4θ2θ1θ3σ24σ13
θ4θ2θ3θ1σ24σ13
θ3θ4θ1θ2σ34σ12
θ3θ4θ2θ1σ34σ12
θ4θ3θ1θ2σ34σ12
θ4θ3θ2θ1σ34σ12
θ1θ2θ3θ4を完成させるための組み合わせ

したがって,θ1θ2θ3θ4の係数としては,

(5)42σ12σ34+42σ13σ24+42σ14σ23=8(σ12σ34+σ13σ24+σ14σ23)

となります。(1,2,3,4)(i,j,k,l)に戻して式(3)に代入すると,

(6)σijσkl+σikσjl+σilσjk

となります。

参考文献

本稿の執筆にあたり参考にした文献は,以下でリストアップしております。

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