【徹底解説】行列の符号と対角化可能

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

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行列の符号と対角化可能

エルミート行列$A\in M_{n}(\mK)$と$k=1,\ldots,n$に対し,つぎが成り立つ。

  1. $A$が正定値$~\Leftrightarrow~$$A$はユニタリ行列により対角成分が正の対角行列に対角化可能
  2. $A$が半正定値$~\Leftrightarrow~$$A$はユニタリ行列により対角成分が非負の対角行列に対角化可能

ただし,$\mK$は複素数空間$\mC$または実数空間$\mR$を表し,$M_{n}(\mK)$は$\mK$上の$n$次エルミート行列全体の集合を表す。

ユニタリ行列による対角化行列の符号と固有値の関係を用いて証明できます。

証明

ユニタリ行列による対角化より,エルミート行列$A$は固有値を対角成分にもつ対角行列に対角化可能です。

\begin{align}
\begin{bmatrix}
\alpha_{1}&&\\
&\ddots&\\
&&\alpha_{n}
\end{bmatrix}
\end{align}

行列の符号と固有値の関係より,$A$が正定値ならば$\alpha_{1},\ldots,\alpha_{n}$はすべて正になり,$A$が半正定値ならばすべて非負になります。したがって,上の主張が示されました。

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