【徹底解説】正則行列の積と正則性

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

正則行列の積と正則性

行列$A_{1},\ldots,A_{n}$に対してつぎの二つは同値である。

  • $A_{1},\ldots,A_{n}$はそれぞれ正則である
  • 積$A_{1}\cdots A_{n}$は正則である

積をとる前後で正則性が保存されるイメージです。

証明

まずは「$A_{1},\ldots,A_{n}$はそれぞれ正則であるならば$A_{1}\cdots A_{n}$は正則である」ことを証明しましょう。$X=A_{n}^{-1}\cdots A_{1}^{-1}$とすると,

\begin{alignat}{2}
(A_{1}\cdots A_{n})X &= (A_{1}\cdots A_{n})(A_{n}^{-1}\cdots A_{1}^{-1}) &&= I_{n}\\[0.7em]
X(A_{1}\cdots A_{n}) &= (A_{n}^{-1}\cdots A_{1}^{-1})(A_{1}\cdots A_{n}) &&= I_{n}
\end{alignat}

となりますので,$X$は$A_{1}\cdots A_{n}$の逆行列になります。したがって,$A_{1}\cdots A_{n}$には逆行列が存在しますので,正則と同値な定義より$A_{1}\cdots A_{n}$は正則になります。

次に,「$A_{1}\cdots A_{n}$は正則であるならば$A_{1},\ldots,A_{n}$はそれぞれ正則である」ことを証明しましょう。正則行列の行列式は0でないことと積の行列式の関係より,

\begin{align}
\det(A_{1}\cdots A_{n}) &= \det(A_{1})\cdots\det(A_{n})\neq 0
\end{align}

が成り立ちます。したがって,行列式がスカラーであることに注意すると,

\begin{align}
\det(A_{1}) &\neq 0,\quad \ldots,\quad \det(A_{n}) \neq 0
\end{align}

が得られます。ふたたび正則行列の行列式は0でないことから,$A_{1},\ldots,A_{n}$はそれぞれ正則であることが示されました。

スカラーとは異なり行列の場合は$XY\neq 0$ならば$X\neq 0$かつ$Y\neq0$が成り立たないため注意が必要です。

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