本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
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目次
BWの定理とアルキメデスの原理
ボルツァーノ・ワイヤストラスの定理からアルキメデスの原理の主張が導かれる。
連続性の公理に関する証明です。
証明
背理法を利用します。まず,有界実数列$(a_{n})_{n\in\mN}$に対してアルキメデスの原理が成り立たないこと,すなわち
\begin{align}
\lim_{n\rarr\infty}n &\neq +\infty
\end{align}
\lim_{n\rarr\infty}n &\neq +\infty
\end{align}
を仮定します。すると,$(a_{n})$は有界となりますので,ボルツァーノ・ワイヤストラスの定理より,収束する部分列$(a_{n(k)})_{k\in\mK}$が存在します。このとき,添字$n(k)$の極限を
\begin{align}
\lim_{k\rarr\infty}n(k) &= n
\end{align}
\lim_{k\rarr\infty}n(k) &= n
\end{align}
とおくと,収束の定義から,全ての$\varepsilon>0$に対して$k_{0}\in\mN$が存在して,$k\geq k_{0}$のとき
\begin{align}
|n-n(k)| < \frac{\varepsilon}{2}\label{収束}
\end{align}
|n-n(k)| < \frac{\varepsilon}{2}\label{収束}
\end{align}
が成り立ちます。一方で,部分列の定義より,自然数の値を取る$(n(k))$は狭義単調増加であることから,
\begin{align}
1 < |n(k+1)-n(k)|\label{狭義単調増加}
\end{align}
1 < |n(k+1)-n(k)|\label{狭義単調増加}
\end{align}
が成り立ちます。いま,式($\ref{収束}$),式($\ref{狭義単調増加}$)と絶対値の性質から,
\begin{align}
1 &< |n(k+1)-n(k)| = |(n(k+1)-n)+(n-n(k))| \\[0.7em]
&\leq |n(k+1)-n|+|n-n(k)| < \frac{\varepsilon}{2}+\frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon
\end{align}
1 &< |n(k+1)-n(k)| = |(n(k+1)-n)+(n-n(k))| \\[0.7em]
&\leq |n(k+1)-n|+|n-n(k)| < \frac{\varepsilon}{2}+\frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon
\end{align}
が成り立ちます。すなわち,$1<\varepsilon$が成り立ちますが,これは$\varepsilon>0$が任意であることに矛盾します。したがって,ボルツァーノ・ワイヤストラスの定理を認めるならば,アルキメデスの原理の主張が成り立つことが示されました。
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