【徹底解説】京大知能情報合格へのロードマップ

本記事では,学部時代にはろくな勉強もせずに勉学以外のことに打ち込み続けた私が,なんとか知能情報学専攻に合格するまでの道のりをまとめていきます。私は京大の情報学科以外の学部から入っているということもあり,特に外部からの編入を狙う方にとって参考になるような情報を提供したいと思っています。極力ポエムにならないように気をつけます。

目次

はじめに

本記事では,以下の流れに沿って具体的な対策方法や効果的な勉強方法をお伝えしていきます。

STEP
情報収集

情報学研究科や知能情報学専攻に関する情報を集めます

STEP
志望研究室決め

STEP1で集めた情報に基づいて第一志望の研究室を決めます

STEP
受験科目決め

STEP2で決めた研究室と自分の得意不得意に基づいて受験科目を決めます

STEP
英語テスト対策

大きなウェイトを占める英語のスコアを短期間で最大化します

STEP
過去問入手

最も肝要な対策ともいえる過去問を集めます

STEP
授業資料集め

問題のベースとなる授業資料を集めます

STEP
とにかく勉強

授業資料と良質な参考書をベースにして勉強します

STEP
過去問で仕上げ

蓄えた知識を過去問で院試用にチューンします

情報収集

何をするにも,まずは敵を知るところから始めなければなりません。まずは,情報学研究科や知能情報学専攻の入試に関する情報を集めるところから着手しましょう。以下のリソースが参考になります。

まずは,ここらへんのHPを見ながら,情報学研究科の特徴や各専攻の色などを感じていただければと思います。例えば,先端数理は入試が早い,知能情報は倍率が異常に高い,などです。弊サイトでは,知能情報学専攻の教務掛にお願いして過去の倍率データをいただき,その遷移をまとめています。

志望研究室決め

自分の希望する研究室を決めましょう。このタイミングで研究室を決める理由は,勉強内容を定めるためです。狙う研究室によって勉強内容が大きく異なることがあるため,出来るだけ早く希望の研究室の目星をつけておくべきです。そして何より,研究室を調べていると勉強のモチベーションが高まります。自分の好きなことができる研究室が見つかれば,自然と勉強に対する意欲も湧いてくるものです。

研究室の人気に関してよく質問をいただきます。研究室ごとの倍率は公開されていませんので,あくまでも私の肌感にはなってしまいますが,知能情報学専攻の研究室の人気度は以下のようになっている印象です。

知能メディア ≒ 認知システム > メディア応用 ≒ 脳認知科学 > 生命システム情報学

「人気があるから優秀だ」ということを言いたい訳ではありません。

知能メディアに属する黒橋研・河原研・西野研は毎年かなり人気がある印象です。さらに,認知システムの鹿島研,メディア応用の岡部研は特に人気がある印象です。脳認知科学に関しては京大の人間・環境学研究科にも認知・行動科学講座があることから,志望者が分散している印象があります。生命システム情報学には阿久津研しか属しておらず,研究室が宇治にあるなど少し異色な位置付けとなっています。

私が考える研究室選びのポイントは以下です。

  • 教員が積極的に論文を執筆しているか
    • Google scholarなどで所属している教員の論文を発表年度の降順で並び替えて確認しましょう。論文投稿に積極的な教員であれば,直近一年間で10本程度の論文を執筆しています。ここ数年論文を投稿していない先生の下では,適切な指導を受けられるとは言い難いでしょう。また,教員は業績一覧ページを持っていることがほとんどですので,名前で検索して今までの主な業績などを確認することも忘れないようにして下さい。
  • 教員数と学生数は十分か
    • 教員数が多ければ多いほど,多様な教育を受けられる機会が増えます。極端な例ですが,研究室に一人の教員しかいないのであれば,身につけられるスキルや経験が偏ってしまいますし,教員と相性が悪い場合に学生側の逃げ道がなくなってしまいます。また,教員と学生の数が多ければ,多角的な視点から研究に関するディスカッションを建設的に行えるようになるでしょう。学生の立場からすると,同期・先輩・後輩が多いことで,共著論文を執筆する機会も増やすことができます。
  • 決まりごとはあるか
    • コアタイムを設けて学生を搾取するような研究室には要注意です。平日は毎日9:00までに来て18:00以降に帰る,など活動時間が決められている研究室も少なくありません。ご自身の生活スタイルに合わせて考えてもらえれば結構なのですが,個人的にはコアタイムがなく自由に伸び伸びと研究させてもらえるような研究室を選ぶべきだと思っています。時間だけでなく,強制的な実験を強いられたり,雑用業務などを押し付けられるような研究室は選ぶべきではありません。
  • 雰囲気は自分に合うか
    • 研究室の雰囲気も多種多様です。飲み会が頻繁に開催される研究室もあれば,懇親会は基本的に行われない研究室もあります。運動系の学生が多い研究室もあれば,文化系の学生が多い研究室もあります。先生と気軽にディスカッションできるような風土の研究室もあれば,一人で黙々と作業する人が多い研究室もあります。研究室の雰囲気は毎年変わるものですので,必ずオープンキャンパスなどを利用して見学するようにしたいです。なお,オープンキャンパスでは表の顔しか見られないことがほとんどですので,イベントがないど平日にアポを取って研究室見学を行うことで,いつもの顔を確認することお勧めします。

受験科目決め

2022年8月に実施される試験は,以下のような出題範囲となっています。

  • 情報学基礎(必須)
    • 線形代数/微分積分
    • アルゴリズムとデータ構造
  • 専門科目(2題選択)
    • 認知神経科学/知覚・認知心理学
    • 統計学
    • パターン認識と機械学習
    • 情報理論
    • 信号処理
    • 形式言語理論/計算理論/離散数学

情報学基礎は必ず解答しなくてはならないため,線形代数/微分積分とアルゴリズムとデータ構造を勉強することは確定です。続いて,専門科目の中から自分が選択する問題を決めてしまいます。選択する問題数ですが,最低3題,できれば4題を選びたいところです。というのも,各分野の難易度は毎年変動が大きく,複数の分野を対策しておくことで,受験した年で易化した分野の問題を選択することができます。2題だけしか対策していないと,そのうち1題でも難しい問題が出てしまうと詰んでしまいます。

認知神経科学と知覚・認知心理学は著作権の関係から過去問の一部が隠されており,対策が難しいという特徴があります。形式言語理論/計算理論/離散数学は,例年難しい問題が出題される傾向にあることから選択しませんでした。また,統計学と機械学習は親和性の高い分野ですので,選ぶのであれば両方同時に選択するべきです。情報理論に関しては,難易度が非常に易しい年があることに加え,対策する範囲もそこまで広くはないことから,選んでおいて損はしない分野です。信号処理は出題傾向が一貫していることもあり,非常に対策しやすい分野です。下で統計学・パターン認識と機械学習・情報理論・信号処理のおすすめ書籍を紹介しますので,ぜひ参考にして下さい。

英語テスト対策

受験科目が決まれば,あとは勉強していくだけです。ここで,英語テスト(TOEFL/TOEIC/IELTS)対策の優先度を上げなくてはなりません。なぜなら,出願時に英語テストのスコアを提出する必要があるからです。英語テストのスコアを受け取るには,受験日から1〜2ヶ月程度余裕をもたなくてはなりませんから,出願が6月であることを考えると遅くとも4月には万全の状態で英語テストを受験しなくてはなりません。情報学基礎や専門科目の勉強は,英語テストの受験が終わってからでも遅くはありません。

2022年8月に実施される試験では以下のような配点比率になっています。これを見ても,英語テストスコアの比重の高さがわかると思います。

  • 情報学基礎:100
  • 専門科目:100
  • 英語:50
  • (口頭試問:200)

口頭試問は全員が受ける訳ではありません。公式にアナウンスされている訳ではないのですが,ボーダーラインの学生を見定めるための面接という立て付けなのだと思います。

過去問入手

院試対策で最も効果的なのは,過去問演習です。2008年度から最新版までの過去問をお渡しすることもできますので,Twitterお問い合わせフォームよりご連絡下さい。2017年から直近までの過去問は情報学研究科のHPに記載されていますので,併せてこちらもご参照ください。当サイトでは,2008年度から最新版までの過去問分析をまとめていますので,ぜひご活用ください。

授業資料集め

院試の問題は先生方が作られていますので,先生方が担当する授業資料やレジュメなどは非常に参考になります。過去の話にはなりますが,情報理論や機械学習の分野で,授業資料とほとんど同じ問題が出題されたこともあります。自分は情報学科出身ではありませんでしたので,授業資料はWeb上のシラバスを参照したり,研究室にアポを取って在籍中の学生からpdfをいただいたりしていました。方法は問いませんので,とにかく最新の授業資料が手に入るようにしましょう。もし京大に何の繋がりもなく,遠方にお住まいで研究室に足を運ぶことが難しい方がいらっしゃれば,私に連絡して下さい。何かしらの策は打ちます。

とにかく勉強

あとは,ひたすらに勉強を重ねるだけです。知能情報学専攻を目指される方であれば,生半可な勉強量では競争に打ち勝つことはできないです。とにかく勉強を続けましょう。対策の流れは,以下のようにするとよいでしょう。

STEP
過去問を眺めて傾向を把握

4年分,できれば10年分の過去問を眺めて各分野の出題傾向を掴みます。頻出の分野とほとんど狙われない分野の肌感を養うことが目的です。

STEP
良質な書籍と授業資料で全体像を把握

良質な書籍と授業資料を用いて各分野の概要を把握します。過去問を眺めて出題傾向を把握した上で授業資料を理解することができれば,出題範囲の大部分を把握することができます。ただし,分野全体としての網羅性には欠けてしまいますので,1〜2冊は良質で網羅的な書籍を用いて分野を俯瞰するようにして下さい。分野全体という高い視点から試験に頻出の分野を眺めることで,新たな気づきを得ることもあります。

STEP
良質な問題で演習

知識は頭で理解しただけでは身につきません。実際に問題演習を通して知識を使うことによって,はじめて知識が身につきます。各分野の全体像を把握した上で,実際にどの部分の知識を使うのかという部分に関して練習を積んでいきます。

STEP
過去問を回す

使えるようになった知識を過去問用にチューンします。当日試験問題を解けなければ意味がありません。過去問は最も良質な演習問題ですので,じっくりと取り組んでみて下さい。

STEP
STEP2〜4を繰り返す

過去問だけを回していても,答えを覚えてしまって本題使うべき思考回路を辿らない危険性があります。そこで,STEP2〜4を時間の許す限り繰り返すことによって,知識を知り,理解し,使う練習を重ねることが可能になります。ここでおすすめなのが,間違いポイント集を作ることです。極論,一度犯した間違いは二度と繰り返さなければ最も効率よく成長することができます。

私は学部4年生当時,何を使って勉強すれば良いのか分かっていませんでした。良質な参考書を判断する能力すらなかったのです。そこで,私は図書館の本棚に一日中張り付いて,選択した分野に関連するほぼ全ての書籍に目を通しました。その結果,自分が本当におすすめできる書籍が何冊か見つかりました。そこで,以下ではそれらの書籍の中から厳選して院試対策におすすめの書籍を紹介します。

基本的に,どの分野もマセマ出版によるキャンパス・ゼミシリーズから始めるのがおすすめです。とにかく初学者に優しく,大学学部レベルの統計学の内容を手っ取り早く最短で身につけるのに最適な書籍です。マセマは怪しい書籍だと思われがちですが,中身は意外としっかりしていて,キャッチーかつある程度の正確性を担保した書籍の中では最高峰ともいえるでしょう。マセマは通常版と演習版がありますので,両方取り組むことをおすすめします。一部,通常盤の問題と演習版の問題に重複する部分もありますが,マセマを繰り返し取り組めば基本的な問題を解けるようになるはずです。

数学

数理工学社
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学部レベルの数学を網羅的に学習するのに最適な書籍です。大学数学の書籍は問題演習が少ないものが多いですが,本書は演習問題がAレベルとBレベルで分けられていて,その解説も非常に詳しいです。さらに,本書で特筆すべきは的確で本質を捉えた筆者の指摘です。他の書籍では見たことのないほどの筆者の毒舌は,本書最大の魅力です。一方で,確率統計の解説及び演習問題が少ないという点が欠点です。下で紹介する統計学の良質な書籍を参考にして下さい。

固有値の定義が分かっていれば解ける問題である。ところが、実際に口頭試問などで受験生に質問してみると、固有値と固有ベクトルの定義が正確にいえる者は案外少ない。「正方行列Aの固有値の定義は何ですか」と問うと、「特性方程式$f_{A}(x)=0$の根です」という答えが返ってくることがあるが、これは(かなり善意に解釈したとしても)「定義」とは言い難い。このような受験生は、しかし、往々にして、例題2.1のような対角化の問題をすらすら解くことができる。これは、その受験生が、対角化の問題の「魔法」を一つの「手続き」として身につけていることを示唆する。固有値が何物であるかは知らなくても、それが計算できればよい。このような便宜主義的な態度によって身につけた知識は、残念ながら、非常に脆弱である。

『詳解と演習大学院入試問題〈数学〉: 大学数学の理解を深めよう』より一部改変

線形代数

マセマ出版社
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マセマ出版社
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マセマの線形代数は,知能情報学専攻で毎年問われる傾向にある行列の$n$乗の解説と演習が非常に詳しいです。通常版と演習版をそれぞれ最低3周はしましょう。

微分積分

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マセマの微分積分は,知能情報学専攻で毎年問われる傾向にある偏微分を用いた最大最小問題と重積分を用いた求積問題の解説と演習が非常に詳しいです。一方で,εーδ論法はほぼ問われる可能性はありませんので,飛ばしてもらっても問題はありません。通常版と演習版をそれぞれ最低3周し,3周目でも間違えた問題はノートにまとめておきましょう。

アルゴリズムとデータ構造

翔泳社
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アルゴリズムとデータ構造は非常に範囲が広大な学問ですが,知能情報学専攻で狙われやすい分野は決まっています。計算量・再帰・探索・ソート・動的計画法・基本的なデータ構造が問われます。Union-Findや最小全域木問題,ネットワークフローは問われる可能性は限りなく低いと考えられます。アルゴリズムとデータ構造の位置付けは,あくまでも情報学基礎という科目ですので,ごく基本的な内容を問われると考えてよいでしょう。

したがって,上で紹介した書籍を全て読む必要はありません。先ほど紹介した分野に当てはまる部分だけを読めば十分です。ただし,注意しなくてはならないのは,頭で理解するだけでなく必ずアルゴリズムは実装できるようになる必要がある点です。ほとんど毎年,何かしらのアルゴリズムの擬似コードが出題されている通り,必ず一度は好きな言語で各種アルゴリズムを実装しておく必要があります。

勉強の順番としては,まずは知能情報学専攻の宮崎先生が執筆されているアルゴリズム図鑑を読むとよいです。人によっては簡単すぎると感じられるかもしれませんが,イラストの色使いや可視化方法は初学者にとっては親しみやすく,最低限の知識を付けることができます。次に,大槻さんと秋葉さんの書籍で各論を整理します。C++が使える方は,このタイミングで実装を試してみてもよいでしょう。より実装面を強化したい場合であれば,競技プログラミオング界隈で有名な蟻本に取り組むとよいでしょう。これらの書籍のうち上述の頻出分野に取り組めば,ほとんどの問題を解けるようになるはずです。

統計学

マセマ出版社
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培風館
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上で紹介した「詳解と演習大学院入試問題〈数学〉: 大学数学の理解を深めよう」では確率統計の解説と演習が不足しています。そこで,線形代数と微分積分同様に,マセマの確率統計を用いることをおすすめします。通常版と演習版をそれぞれ最低3周し,3周目でも間違えた問題はノートにまとめておきましょう。マセマの統計学は2020年7月に確率統計というタイトルに変更されましたので,購入の際はご注意下さい。

知能情報学の統計学分野では,区間推定と検定の問題が頻出です。これらを対策するのに最適な書籍は,培風館の統計学演習です。他の書籍には見られない網羅性と豊富な演習問題が用意されています。

機械学習

オーム社
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オーム社
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森北出版
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コロナ社
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オライリージャパン
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機械学習の名著といえばパターン認識と機械学習,通称PRMLです。しかし,PRMLは院試で問われるレベルを大きく逸脱してしまい,対策としてPRMLを読み進めるのはオーバーキルといえます。そこで,おすすめしたいのが,わかりやすいパターン認識とはじめてのパターン認識です。前者は「わかパタ」,後者は「はじパタ」と呼ばれています。わかパタは2冊から構成されますが,はじパタは1冊から構成されます。これらはPRMLよりも初学者向きで,内容も正確で誤魔化さずに機械学習を解説しています。両方とも読み進めると得られる知識が重複する部分が多いため,書店などで中身を確認して自分に合っていそうだと感じるシリーズに着手するとよいでしょう。参考までに,わかパタとはじパタの比較表を載せておきます。

わかパタの利点
  • ニューラルネットの導入
  • 識別面の設定
  • 部分空間法
  • 機械学習の俯瞰
はじパタの利点
  • バイアスとバリアンスの説明
  • 識別機の評価
  • フィッシャーの線形判別法
  • サポートベクトルマシン
わかパタの欠点
  • 問題演習がない
はじパタの欠点
  • 誤植が多い

わかパタの方が章の構成が丁寧でコラムも充実している一方で,はじパタは誤植が多くわかパタよりもやや硬派な書きっぷりであることから,個人的にはわかパタ派です。一方,わかパタには演習問題がついていませんので,他の書籍で賄うしかありません。そこで,おすすめできるのがコロナ社の入門パターン認識と機械学習です。網羅的に豊富な問題演習を行うことができます。さらに,最近は深層学習に関する出題も増えていますから,ゼロから作るシリーズの第一弾を読むと最低限の知識を付けることができます。

情報理論

森北出版
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オーム社
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情報理論の教科書といえば今井先生の情報理論ですが,院試対策としてはオーバーキルです。より初学社向けの書籍を選んで,着実に知識を習得しましょう。森北出版のはじめての情報理論は,抽象的になりがちな情報理論で登場する概念を分かりやすくコンパクトにまとめた書籍です。オーム社の情報理論のエッセンスは定理の証明を中心とした解説が特徴的です。はじめての情報理論で全体像を把握した後に,情報理論のエッセンスで数学的な背景を学ぶとよいでしょう。Web上の資料としては,2004〜2019年度に京大情報学科の情報理論の授業を担当された西田先生の講義スライドとノートが非常に参考になります。自分も院試対策でお世話になりました。

信号処理

コロナ社
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日本理工出版会
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電子情報通信学会
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コロナ社
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信号処理の勉強は,必ずやる夫で学ぶディジタル信号処理から読み始めて下さい。こちらは鏡先生のご厚意でWeb上に無料公開されている超良質な資料です。タイトルからも推測できる通り,資料の語り口は初学者向きで,信号処理を学び始める人にとっては最適な選択肢だといえます。東北大学の4年生向け講義の補足資料として執筆を始められたということもあり,Web上の資料でありながらも,内容の正確性も担保されています。自分も院試対策の頃には全てのページを印刷し,バインダーで留めて一冊の本を作っていました。

しかし,やる夫で学ぶディジタル信号処理では問題演習がないことに加え,実践的な知識を得ることができません。そこで,特に知能情報で狙われやすい分野に絞って演習問題を行いましょう。知能情報の信号処理は,$z$変換,FFT,ディジタルフィルタの設計,標本化定理がよく問われます。$z$変換を対策するためには,コロナ社の例解ディジタル信号処理入門が最適です。FFTとディジタルフィルタの設計を対策するためには,日本理工出版会のディジタル信号処理が最適です。標本化定理を対策するためには,電子情報通信学会のディジタル信号処理の基礎が最適です。少し出題傾向から逸れますが,信号処理における相関係数の扱いに関して対策するためには,コロナ社の信号処理入門が最適です。以下にまとめておきます。

  • z変換:例解ディジタル信号処理入門(コロナ社)
  • FFT/ディジタルフィルタ:ディジタル信号処理(日本理工出版会)
  • 標本化定理:ディジタル信号処理の基礎(電子情報通信学会)
  • 相関係数:信号処理入門(コロナ社)

おわりに

京大情報学研究科の知能情報学専攻は,周りのレベルの高さはもちろんのこと,学生に対する教育体制や授業の質など,申し分ない教育環境が整えられていると思います。私は知能情報学専攻に入学することができて,本当に幸せでした。

私が知能情報学専攻を目指そうと決意したのは,学部3回生の秋頃だったかと思います。決意はしたものの,周りに助けを求める人が全くおらず,まさに暗中模索しながら院試対策を行いました。過去問を見たときに,各問題がどの分野に対応しているのかが全く分からないレベルからのスタートでした。信じられたのは勉強することだけで,暇さえあれば何かしらの勉強をしていました。トイレをしている間に頭の中でフーリエ変換の導出を確認し,食事を取っている間に単語帳を暗記し,シャワーを浴びている間にスピーキング練習を行いました。本当に発狂しそうな体験でした。しかし,月並みな言葉ですが,今の自分を形作っているのは当時の辛い経験だと強く感じています。しかし,皆さんには必要以上の辛い経験はしてほしくありません。

当サイトでは情報学研究科,特に知能情報学専攻を目指される方のサポートを行なっております。具体的には,過去問解答解説の販売や適切な勉強方針の策定,志望理由書の添削などを行なっております。恐縮ながら一部有料とはなりますが,皆さんの充実した大学院生活のため全力でお力添えしたいと思っていますので,極力コストを下げております。詳しくは,以下のページをご覧ください。

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