【徹底解説】コーシー分布の再生性と算術平均

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コーシー分布の再生性と算術平均

本稿では,モーメント母関数の複素拡張である特性関数を使って,コーシー分布の算術平均に関する再生性を証明していきます。コーシー分布の特性関数は,以下のように表されます。

\begin{align}
\phi_X(t) &= e^{-|t|}
\end{align}

$i=1,\ldots,n$に対し,$X_i$をそれぞれ独立にコーシー分布に従う確率変数とします。以下の算術平均

\begin{align}
\overline{X} &= \frac{\sum_i X_i}{n}
\end{align}

に関する特性関数を考えると,以下のようになります。

\begin{align}
\phi_{\overline{X}}(t)
&= E\left[e^{i\overline{X}t}\right]\\[0.7em]
&= E\left[e^{iX_1t/n}\ldots e^{iX_nt/n}\right]\\[0.7em]
&= E\left[e^{iX_1t/n}\right]\ldots E\left[e^{iX_nt/n}\right]\\[0.7em]
&= \left(e^{-|t/n|}\right)^n\\[0.7em]
&= e^{-|t|}
\end{align}

これは,コーシー分布の特性関数と一致します。したがって,コーシー分布に独立に従う確率変数の算術平均は,再びコーシー分布に従うことが示されました。

参考文献

本稿の執筆にあたり参考にした文献は,以下でリストアップしております。

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