【徹底解説】コーシー列の性質

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

コーシー列の性質

コーシー列はつぎの性質を持つ。

  1. コーシー列は有界である
  2. コーシー列のある部分列が$a$に収束すれば,コーシー列も$a$に収束する

併せてコーシー列の定義もご確認ください。

証明

どちらの命題においてもコーシー列を$(a_{n})_{n\in\mN}$とおき,それぞれを証明していきます。

1. の証明

任意の$\varepsilon>0$を一つ選びます。収束の定義より,その$\varepsilon$に対しある$n_{1}\in\mN$が存在して,$n,m\geq n_{1}$のとき

\begin{align}
|a_{m}-a_{n}| < \varepsilon
\end{align}

となりますから,$m=n_{1}$とすることで

\begin{align}
a_{n_{1}}-\varepsilon<a_{n}<a_{n_{1}}+\varepsilon
\end{align}

となります。そこで,少なくとも

\begin{align}
M &= \max\{|a_{0}|,|a_{1}|,,\ldots,|a_{n_{1}-1}|,|a_{n_{1}}-\varepsilon|,|a_{n_{1}}+\varepsilon|\}
\end{align}

とおけば,すべての$n\in\mN$に対し$|a_{n}|\leq M$となります。

2. の証明

$(a_{n})$がコーシー列であることから,任意の$\varepsilon>0$に対し$n_{0}\in\mN$が存在して,$m,n\geq n_{0}$のとき

\begin{align}
|a_{m}-a_{n}| < \frac{\varepsilon}{2}\label{コーシー}
\end{align}

が成り立ちます。一方,$(a_{n})$の部分列を$(a_{n(k)})_{k\in\mN}$とおくと,部分列が$a$に収束する仮定から,任意の$\varepsilon>0$に対し$k_{0}\in\mN$が存在して,$k\geq k_{0}$ならば

\begin{align}
|a-a_{n(k)}| < \frac{\varepsilon}{2}
\end{align}

が成り立ちます。いま,$m_{0}=\max(n_{0},k_{0})$とおきます。すると,部分列の定義より$k\leq n(k)$となりますので,$k\geq m_{0}$となる$k$を選べば$n(k),k\geq n_{0}$となります。これらと式($\ref{コーシー}$)より,

\begin{align}
|a_{n(k)}-a_{k}| < \frac{\varepsilon}{2}
\end{align}

が成り立ちます。いま,絶対値の性質より,

\begin{align}
|a-a_{k}| &= |a-a_{n(k)}+a_{n(k)}-a_{k}| \leq |a-a_{n(k)}|+|a_{n(k)}-a_{k}| < \frac{\varepsilon}{2}+\frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon
\end{align}

が成り立ちます。極限の定義より,これは$(a_{k})$の極限が$a$であることを示しています。

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