【徹底解説】基底の一次結合の一意性

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

基底の一次結合の一意性

$V$を$n$次元ベクトル空間とし,$\{v_{1},\ldots,v_{n}\}$を$V$の一つの基底とする。このとき,$V$の任意の元$v$は$\{v_{1},\ldots,v_{n}\}$の一意結合として

\begin{align}
v &= a_{1}v_{1}+\cdots+a_{n}v_{n} \label{主題}
\end{align}

と一意に表される。

ベクトル空間の次元数分の基底を用意すれば,$V$の任意の元を一意に表すことができるという意味です。

証明

式($\ref{主題}$)とは別に,

\begin{align}
v &= b_{1}v_{1}+\cdots+b_{n}v_{n}
\end{align}

となる実数$b_{1},\ldots,b_{n}$が存在したとします。このとき,

\begin{align}
a_{1}v_{1}+\cdots+a_{n}v_{n} &= b_{1}v_{1}+\cdots+b_{n}v_{n}
\end{align}

が成り立ちます。両辺を整理すると,

\begin{align}
(a_{1}-b_{1})v_{1}+\cdots+(a_{n}-b_{n})v_{n} &= 0
\end{align}

となります。基底の定義より,$\{v_{1},\ldots,v_{n}\}$は一次独立であり,全ての$i=1,\ldots,n$に対して$a_{i}=b_{i}$となります。したがって,$v$は必ず一意に表されることが示されました。

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