【徹底解説】元によって張られる部分空間

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

元によって張られる部分空間

$V$をベクトル空間とし,$V$の元$v_{1},\ldots,v_{n}$が与えられたとする。このとき,$v_{1},\ldots,v_{n}$の一次結合の全体$W$は,

\begin{align}
\langle v_{1},\ldots,v_{n} \rangle
\end{align}

と表される。また,$W$は$V$の部分空間となる。

元によって張られる部分空間は「生成される」部分空間ともよばれます。

証明

$W$がベクトル空間$V$の部分空間の定義を満たすことを確認します。すなわち,

  • 加法に閉じている
  • スカラー倍に閉じている
  • ゼロベクトルを含む

を満たすことを確認します。$u,v\in W$に対し,$W$は$v_{1},\ldots,v_{n}$の一次結合で表されるため,ある実数$a_{1},\ldots,a_{n}$と$b_{1},\ldots,b_{n}$で

\begin{align}
u &= a_{1}v_{1}+\cdots+a_{n}v_{n}\\[0.7em]
v &= b_{1}v_{1}+\cdots+b_{n}v_{n}
\end{align}

となる$a_{1},\ldots,a_{n}$と$b_{1},\ldots,b_{n}$が存在します。いま,

\begin{align}
u+v &= (a_{1}+b_{1})v_{1}+\cdots+(a_{n}+b_{n})v_{n} \\[0.7em]
cu &= (ca_{1})v_{1}+\cdots+(ca_{n})v_{n} \label{スカラー倍}
\end{align}

が成り立ちます。$u+v$と$cu$が一次結合で表されるため,いずれも$W$の元となることが分かります。特に,式($\ref{スカラー倍}$)で$c=0$とすると,ゼロベクトルも$W$の元となることが分かります。以上より,$W$がベクトル空間$V$の部分空間であることが示されました。

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