本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
部分空間
$V$をベクトル空間とする。$V$の部分集合$W$は,以下を満たすとき$V$の部分空間と呼ばれる。
- $u,v\in W$ならば$u+v\in W$
- $u\in W$ならば任意の実数$c$に対して$cu\in W$
- $W$は空でない
条件1と条件2は「加法とスカラー倍に関して閉じている」と表現されることもあります。特に,ベクトル空間の定義より,$V$の任意の元に関して加法とスカラー倍が定義されていますので,$V$自身も$V$の部分空間となります。
補足
条件3は「ゼロベクトルを含むこと」と言い換えることができます。なぜなら,部分集合$W$が空でないと仮定すると,$w\in W$となる元が存在します。部分集合の定義より,$w$のスカラー倍もまた$W$に属しますので,スカラーとして$0$をとればゼロベクトルが$W$に属することが分かります。逆に,ゼロベクトルが$W$に属すると仮定すると,明らかに$W$は空ではありません。以上より,条件3が「ゼロベクトルを含むこと」と言い換えることができることを示せました。
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