【徹底解説】行列の階数と一次独立なベクトルの個数

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

行列の階数と一次独立なベクトルの個数

Aの列階数はAの一次独立な列ベクトルの最大個数を表し,Aの行階数はAの一次独立な行ベクトルの最大個数を表す。

本質的にはベクトル空間と基底の最大個数の話に繋がります。

証明

まず,列ベクトルによって貼られる空間がRmの部分空間であることを示します。そのために,RnからRmへの線型写像LAとおき,xRnLAによる像を調べましょう。xRnの標準基底{e1,,en}で表すと,

(1)x=j=1nxiei

となります。線形写像と行列の関係より,

(2)LA(x)=i=1nxiLA(ej)(3)=i=1nxiaj

が成り立ちます。部分空間の像の性質より,xLAによる像はa1,,anによって張られるRmの部分空間になっています。いま,a1,,anのうち一次独立であるものの最大個数をrとすると,ベクトル空間と基底の最大個数の証明と同様にすることで,a1,,anで張られる空間の基底はr個の元から構成されることが分かります。すなわち,基底の定義より

(4)dima1,,an=r

となります。一方,定義よりa1,,anで張られる空間の次元数が列階数となります。すなわち,列階数は

(5)dima1,,an

で表されます。以上より,列階数はAの一次独立な列ベクトルの最大個数rを表していることが示されました。行階数に関しても同様に示すことが可能です。

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