【徹底解説】実対称行列の性質<対角化可能>

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

実対称行列の性質<対角化可能>

$n$次元実対称行列$A$は以下の性質をもつ。

  • 直交行列によって対角化可能である

併せて実対称行列の性質もおさえましょう。

証明

実内積空間におけるテプリッツの定理を行列の用語で翻訳すると,以下のようになります。

$n$次の実行列$A$が直交行列によって対角化されるための必要十分条件は,$A$が対称行列であることである。

これは上の主張に他なりません。

補足

実内積空間におけるテプリッツの定理において「$F$が$V$の適当な正規直交基底に関して対角行列で表現される」という部分を考えてみます。これは,「ある正規直交基底$\alpha$を然るべき正規直交基底$\alpha^{\prime}$にとりかえると,その表現行列は対角行列になる」ということを表しています。正規直交基底同士の基底変換行列は直交基底になりますので,行列の相似と表現行列より,$F$の$\alpha$に関する表現行列$A$の基底を$\alpha^{\prime}$にとりかえた表現行列は

\begin{align}
U^{-1}AU &= U^{T}AU\label{基底のとりかえ}
\end{align}

と表されます。したがって,実内積空間におけるテプリッツの定理というのは「式($\ref{基底のとりかえ}$)が対角行列になるための必要十分条件は$A$が対称行列であること」を主張しています。これはすなわち,上の主張に他なりません。

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