【徹底解説】固有多項式の定義

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

固有多項式

$A\in M_{n}(\mK)$とする。ただし,$\mK$は実数空間$\mR$または複素数空間$\mC$を表し,$M_{n}(\mK)$は$\mK$の元を成分とする$n$次元正方行列の集合を表す。このとき,

\begin{align}
f_{A}(x) &= \det \left(xI_{n}-A\right) \label{主題}
\end{align}

で表される$f_{A}(x)$を固有多項式または特性多項式という。ただし,$\det$は行列式写像を表し,$I_{n}$は$n$次元単位行列を表す。

固有多項式は固有値と固有ベクトルの定義から導出されます。以下で説明します。

導出

固有値と固有ベクトルの定義より,

\begin{align}
A\vx &= \alpha \vx
\end{align}

が成り立ちます。すなわち,

\begin{align}
\left(A- \alpha I\right)\vx &= 0 \label{変形}
\end{align}

が成り立ちます。すなわち,$\alpha\in \mK$が$A$の固有値であることは,連立一次方程式($\ref{変形}$)が自明でない解$\vx\in\mK^{n}$をもつことと同等になります。すると,非自明な解と行列式の関係より,行列$A$に固有値が存在するための必要十分条件は

\begin{align}
\det(\alpha I_{n}-A) &= 0 \label{行列式}
\end{align}

となります。式($\ref{行列式}$)の固有値$\alpha$を変数として改めて$x$とおくと,式($\ref{行列式}$)の左辺は固有多項式に一致します。すなわち,$\alpha\in \mK$が$A$の固有値であることは$f_{A}(\alpha)=0$であることと同等になります。

シェアはこちらからお願いします!

コメント

コメントする

※ Please enter your comments in Japanese to distinguish from spam.

目次