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目次
カイ二乗分布と多変量正規分布
$n$が十分大きいとき,以下のようにポアソン分布は正規分布で近似できる。
\begin{align}
\Po (\lambda) &\sim \N(\lambda, \lambda)
\end{align}
\Po (\lambda) &\sim \N(\lambda, \lambda)
\end{align}
証明
$X_1, \cdots, X_n$をポアソン分布$\Po (\lambda)$に従う独立な変数とします。このとき,
\begin{align}
S_n &= X_1 + \cdots + X_n
\end{align}
S_n &= X_1 + \cdots + X_n
\end{align}
を考えると,ポアソン分布の再生性より
\begin{align}
E[S_n] &= n\lambda \\[0.7em]
V[S_n] &= n\lambda
\end{align}
E[S_n] &= n\lambda \\[0.7em]
V[S_n] &= n\lambda
\end{align}
となります。これは,
\begin{align}
S_n &\sim \Po (n\lambda)
\end{align}
S_n &\sim \Po (n\lambda)
\end{align}
とも書くことができます。ここで,$n$が十分大きいときを考えます。すると,中心極限定理を利用でき,
\begin{align}
Z &= \frac{S_n-n\lambda}{\sqrt{n\lambda}}
\end{align}
Z &= \frac{S_n-n\lambda}{\sqrt{n\lambda}}
\end{align}
は標準正規分布$\N (0,1)$に収束します。これは,$n$が十分大きいときには,ポアソン分布$\Po (n\lambda)$は正規分布$\N (n\lambda, n\lambda)$に近似できるということを示しています。$n\lambda$を改めて$\lambda$とおくと,ポアソン分布$\Po (\lambda)$は正規分布$\N (\lambda, \lambda)$に近似できるということを示しています。
参考文献
本稿の執筆にあたり参考にした文献は,以下でリストアップしております。
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