【徹底解説】十分統計量の定義

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十分統計量

$k$個の統計量$T=(T_{1},\ldots,T_{k})$がパラメータ$\theta$に関する$k$次元の十分統計量であるとは,$T$を与えたときの$X=(X_{1},\ldots,X_{n})$の条件つき分布が$\theta$に依存しないことである。すなわち,以下の式を満たす$T=T(X)$を十分統計量とよぶ。

\begin{align}
P(X=x|T(X)=t,\theta) &= P(X=x|T(X)=t)
\end{align}

十分統計量は「ある統計量のうち,その統計量を条件づけたときに未知のパラメータの条件を外すことができる」と読めますが,少し言い換えると「未知のパラメータに依存せずに母集団分布を表すことのできる統計量」と定義できます。つまり,十分統計量は分布から得られた標本$X$のうち母数の推定に十分な情報を含んだ統計量のことを指します。実際の応用では,ある統計量が十分統計量かどうかを判別するときには,条件つき分布を愚直に計算するのではなくフィッシャー・ネイマンの因子分解定理を利用すると便利です。

参考文献

本稿の執筆にあたり参考にした文献は,以下でリストアップしております。

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