【数検1級対策】要点まとめシート

本記事では,数学検定1級で頻出のトピックについてまとめていきます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

整数問題

合同式x211(mod53)を解く方針を説明せよ

mod5から考えていく。このとき,x111(mod5)だからといって11を崩してはいけない。なぜなら,「aが法p2以外の素数)に対して平方剰余であるとき,任意のpの累乗pe(e1)に対してもaは平方剰余になる」という定理を利用するため。

pell方程式について述べよ

x2ay2=1を指す。一般にpell方程式は無限個の自然数解をもつが,最小の自然数解(x1,y1)に対してxn+ynaもpell方程式の解になることを利用することで,漸化式を立てて逐次的に解を求めることができる。

オイラーの定理を述べよ

mが正の整数でamと互いに素な正の整数としたとき,

(1)aφ(m)1modm

オイラー関数の計算方法について述べよ

mの素因数分解が

(2)m=k=1dpkek

と与えられているならば,

(3)φ(m)=mk=1d(11pk)

と計算できる。

オイラーの関数の代表的な性質を2つ挙げよ
  • 素数pに対してφ(pk)=pkpk1
  • 互いに素な自然数m,nに対してφ(nm)=φ(n)φ(m)
オイラーの定理を利用できる例題を考えよ

例えば20222252で割った余りを考える問題。オイラーの定理より

(4)2022φ(25)1mod25

となり,

(5)φ(25)=25(115)(6)=20

であることから,25を法として

(7)20222220222020222(8)20222(9)(2000+22)2(10)222(11)9

と求めることができる。

種々の計算

ax3+bx2+cx+dの因数の候補を説明せよ

(12)x=±dの約数aの約数

u3=cos(π/3)+isin(π/3)を満たすuを求めよ

ド・モアブルの定理より

(13)u=cos(π9)+isin(π9)

となる。感覚的に3を掛けそうになってしまうため注意する。

a+bxnを簡単にする方法を説明せよ

c,dを有理数として

(14)a+bxn=c+dx

とおいて両辺をn乗する。例えば10+633に対しては

(15)10+633=a+b3

とおいて両辺を3乗する。

a5+b5を因数分解せよ

(16)(a+b)(a4a3b+a2b2ab3+b4)

対称式で表したい場合は,さらに

(17)(a+b){(a2+b2)2a2b2ab(a2+b2)}

と表せる。

a5b5を因数分解せよ

(18)(ab)(a4+a3b+a2b2+ab3+b4)

対称式で表したい場合は,さらに

(19)(ab){(a2+b2)2a2b2+ab(a2+b2)}

と表せる。

xn+ynを基本対称式で表せ

(20)xn+yn=(x+y)(xn1+yn1)xy(xn2+yn2)

x2+y2+z2を基本対称式で表せ

(21)x2+y2+z2=(x+y+z)22(xy+yz+zx)

x3+y3+z3を基本対称式で表せ

(22)x3+y3+z3=(x+y+z)33(x+y+z)(xy+yz+zx)+3xyz(23)=(x+y+z)(x2+y2+z2xyyzzx)+3xyz

a3+b3+13abを因数分解せよ

(24)x3+y3+z3=(x+y+z)(x2+y2+z2xyyzzx)+3xyz

においてx=a,y=b,c=1を代入すると,

(25)a3+b3+13ab=(a+b+c)(a2+b2+1abbc)

a0x3+a1x2+a2x+a3=0 (a00)の解と係数の関係を述べよ

(26)α+β+γ=a1a0,αβ+βγ+γα=a2a0,αβγ=a3a0

f(x)=x3(y2+yz+z2)x+yz(y+z)を因数分解せよ

因数定理よりf(x)=0となるxの候補はyz(y+z)の約数となるため,y,z,y+zが因数の候補である。このうちf(z)=0となることに注意すると,組立除法等を用いることにより

(27)x3(y2+yz+z2)x+yz(y+z)=(xz)(x2+zxy(y+z))

が得られる。同様にg(x)=x2+zxy(y+z)g(y)=0となることに注意すると,

(28)(xz)(x2+zxy(y+z))=(xz)(xy)(x+y+z)

が得られる。

f(x)=x3+x2+x+1f(x10)f(x)で割るときの余りを求めよ

因数定理より

(29)f(x)=(x+1)(x2+1)

が得られる。f(x10)f(x)で割るときの商をg(x),余りをh(x)とおくと,

(30)f(x10)=(x+1)(x2+1)g(x)+h(x)

となる。これを(x2+1)g(x)x+1で割るときの余りがh(x)という見方をすると,余りの次数は商の次数よりも小さくなるためg(x)の次数は0となり,h(x)は定数hとなる。両辺にx=1を代入すると,

(31)f((1)10)=f(1)=13+12+1+1=4=h

となるため,求める答えはh=4である。

x413x2+4を因数分解せよ

定数項に関して平方完成すると和と差の積で表されるタイプの因数分解。

(32)x413x2+4=(x22)29x2=(x2+3x2)(x23x2)

特性方程式が異なる解をもつ三項間漸化式の解き方を説明せよ

特性方程式の解をλ1,λ2とおくと,

(33)an=C1λ1n+C2λ2n

と表される。C1C2は初期値から求める。

特性方程式が重解をもつ三項間漸化式の解き方を説明せよ

特性方程式の重解をλとおくと,

(34)an=C1λn+C2nλn

と表される。C1C2は初期値から求める。

線形代数

ある行列を対称行列と交代行列で表すときの方針を述べよ

対称行列と交代行列をそれぞれ文字で置いて両辺を転置する。

行列のn乗で二項定理を利用するときの注意点を述べよ

行列が可換(AB=BA)であることを調べる。

対称性の見える行列の行列式を求める際に思い浮かべる方針を述べよ

|AT|=|A|を利用するため,とりあえず置換した行列との積を計算してみる。例えば

(35)M=(abcdbadccdabdcba)

に対し,転置を左から掛けると

(36)MTM=(abcdbadccdabdcba)(abcdbadccdabdcba)(37)=(a2+b2+c2+d20000a2+b2+c2+d20000a2+b2+c2+d20000a2+b2+c2+d2)(38)=(a2+b2+c2+d2)E

となるため,|M|=|MTM|=a2+b2+c2+d2と求められる。

adbcを求めよ」という問題のテクニックを述べよ

行列式で登場する項であるため,両辺の行列式をとる操作が有効な場合がある。例えば,

(39)A(110m)=(1+k1kmm)

という等式において,両辺の行列式を取ると

(40)(adbc)m=(1+k)mkm=m

となるため,adbc=1が得られる。

任意の内積空間においてノルムを求める方法を述べよ

自分自身との内積を計算すればよい。例えば内積として

(41)fg=11f(x)g(x)dx

が定義されていた場合は,|f|2=ffであることを利用する。

複素数の回転について述べよ

複素数zφ回転するためにはeiφを掛ければよい。なぜなら,z=eθとおけば,指数部分が足し算になり位相がθ+φになるからである。別の言い方をすれば,cosφ+isinφを掛ければφ回転を表すことになる。

回帰直線の方程式を述べよ

(42)YE[Y]=ρ(X,Y)σYσX(XE[X])

相関係数が傾きとなり,標準偏差でスケールすると覚えてしまうとよい。導出は少し面倒。

微分積分

limnsin(3n)/nを求めよ

1sin(3n)1に注意すると,はさみうちの原理より0となる。sinθ/θ1となるのはθ0のとき。

ネイピア数eの定義を述べよ

(43)e=limh0(1+h)1/h=limx(1+1/x)x

括弧の中は足し算であることに十分注意する。

スターリングの公式を述べよ

(44)n!2πn(ne)n

例えば,

(45)limnn(n!)1/n=n(2πn)1/(2n)(n/e)=1{(2πn)1/(2πn)}πe1=11πe1=e

のように用いる。ただし,x1/x1を利用した。n/(n!)1/nの極限はスターリングの公式を使用しないと非常に面倒。

(ax)を述べよ

(46)(ax)=axlogea (a>0,a1)

(logax)を述べよ

(47)(logax)=1xlogea (a>0,a1)

双曲線関数の定義を述べよ

(48)sinhx=exex2,coshx=ex+ex2,tanhx=sinhxcoshx=exexex+ex

ダランベールの収束判定法を述べよ

数列anに対し,

(49)limn|an+1an|=r

が存在するとき,0r<1ならば絶対収束し,1<rならば発散する。

r=1の場合は収束・発散いずれの可能性もあります。an+1/anは等比数列の公比を表しています。

収束半径の定義を述べよ

べき級数n=0an(za)nに対し,

(50)r=limn|anan+1|

が存在するとき,rは収束半径である。

ダランベールの収束判定法と収束半径の違いを説明せよ

an+1/anなのかan/an+1なのか覚えにくい。「|za|<rのときに収束する場合のr」が収束半径の定義だと捉え,ダランベールの収束判定法は等比級数の公比から自明として考えると分かりやすい。実際に,ダランベールの収束判定法より

(51)limn|an+1(za)n+1an(za)n|=limn|an+1an||za|

が存在するとき,この結果が1未満ならば絶対収束する。|za|<rとした場合に

(52)r=limn|anan+1|

であれば

(53)limn|an+1an||za|<1rr=1

となるため絶対収束する。ゆえに,

(54)r=limn|anan+1|

が収束半径となる。「n+1が分母にくる三角形となる」と視覚的に覚えてしまうと楽。

項別微分の条件を述べよ

収束半径をrとおくと,|x|<rのもとで項別微分が可能である。なお,

(55)limn|anan+1|=r

が存在するならば,n=0nanxnの収束半径はrとなる。

n=11/(n2n)を求めよ

分母のnに注目する。こいつを排除したいので,xnを微分することを考える。収束半径は2であることから項別微分が可能で,

(56)f(x)=n=11n2nxn

とおくと,

(57)f(x)=12n=1(x2)n1=12(1x/2)=12x

となるため,積分すればf(x)が求められる。

xm/mの形をした無限級数では,とにかく微分を疑いましょう。ただし,項別微分の条件である収束半径を確認する必要があります。

三角関数と多項式関数が混合した極限の求め方について述べよ

三角関数をマクローリン展開して多項式近似する。

部分分数分解の分母の候補について述べよ

例えば1/(x+a)2という項があれば1/(x+a)1/(x+a)2の両方が候補になる

1/a2x2dxを述べよ

(58)sin1xa+C

係数に1/aが付かない点に注意してください。

1/a2+x2dxを述べよ

(59)log|x+a2+x2|+C

1/(a2+x2)dxを述べよ

(60)1atan1xa+C

係数に1/aがつく点に注意してください。

三角関数の積分で手詰まりになった際に利用する変換公式を述べよ

(61)tanx2=t

とおくことにより,

(62)sinx=2t1+t2,cosx=1t21+t2,dx=21+t2dt

よりtの有理関数の積分に帰着させることができる。

231/|x24|dxの求め方を説明せよ

積分区間に被積分関数の特異点を含むため,

(63)limβ20α2+0αβ1|x24|dx+limβ30α2+0αβ1|x24|dx

のように広義積分を計算すればよい。

微分方程式

微分方程式の大分類を述べよ
  1. 定数係数非同次微分方程式
  2. 完全微分方程式
  3. 非同次オイラー方程式
微分方程式の分類を小分類を述べよ

定数係数非同次微分方程式がさらに細かく分かれる。

  1. 変数分離形
  2. 同次形
  3. 一階線形
  4. ベルヌーイ形
  5. 完全微分方程式
  6. 二階同次線形
  7. 二階非同次線形
  8. オイラーの微分方程式
  9. クレローの微分方程式
  10. ラグランジュの微分方程式
  11. リッカチの微分方程式
y=P(x)Q(y)の解法を述べよ

変数分離形。Q(y)を左辺に移項して両辺をxで微分。

y=f(ax+by+c)の解法を述べよ

変数分離形。z=ax+by+cと置いて他の微分方程式の形に帰着させる。

y=f(y/x)の解法を述べよ

同次形。u=y/xと置いて他の微分方程式の形に帰着させる。

y+P(x)y=Q(x)の解法を述べよ

一階非同次線形。両辺にexp{P(x)dx}をかけることで部分積分の形に帰着させる。

y+P(x)y=Q(x)ynの解法を述べよ

ベルヌーイの微分方程式。両辺をynで割ってu=y1nとおくことで1階線形形に帰着。

P(x,y)dx+Q(x,y)dy=0の解法を述べよ

全微分方程式。dPdy=dQdxを満たす場合はP=dFdxQ=dFdyとして解はF(x,y)=Cとなる。dPdy=dQdxを満たさない場合は微分方程式の両辺にμ(x,y)をかけてdPμdy=dQμdxを満たすようにμを調整する。後者の場合はμをうまく設定できるような問題がほとんど。

y+py+qy=R(x)の解法を述べよ

二階非同次線形。y=yc+Yとして求める。ycは同次方程式の解き方を用いて求める。

  1. 異なる2つの実数が解のとき:Y=C1eλ1x+C2eλ2x
  2. 重解のとき:Y=(C1+C2x)eλ1x
  3. 虚数解をもつとき:Y=eαx(C1cosβx+C2sinβx)

Yは右辺のR(x)の形を見て形を予想したうえで代入する。もしその予想系の項がycと被っていたら,重複度に応じてYxもしくはx2をかける必要がある。具体的には,1重解であった場合はx,2重解であった場合はx2を掛ける。

x2y+axy+by=R(x)の解法を述べよ

オイラーの微分方程式。x=etとおくことで,二階線形に帰着。

p=yのときy=px+f(p)の解法を述べよ

クレローの微分方程式。両辺をxで微分する。一般解である直線群と特異解である包絡線が得られる。

p=yのときy=f(p)x+g(p)の解法を述べよ

ラグランジュ(ダランベール)の微分方程式。両辺をxで微分する。最終的には媒介変数が残ったままになるが気にしなくてOK。

y+P(x)y2+Q(x)y+R(x)=0の解法を述べよ

リッカチの微分方程式。R(x)の形に着目することで特殊解Yを見つける。同次方程式の一般解をuとしてy=u+zを元の式に代入すると,ベルヌーイの微分方程式に帰着。

変数分離系における絶対値の外し方を説明せよ

変数分離系では1/yのような積分を扱いlog|y|=x+C1となることが多い。このとき,絶対値は

(64)y=±ex+C1=Cex

のように±eC1とおいて外すことが多い。

確率統計

基本操作

チェビシェフの不等式を述べよ

(65)P(|Xμ|kσ)1k2

チェビシェフの不等式を利用する問題の例を1つ挙げよ

サイコロを900回振ったとき,6の目が出る回数は80%以上の確率で何回になると考えられるか。この問題ではXB(900,1/6)と考えられるから,μ=150σ=9001/65/6=55であり,

(66)P(|X150|55k)1k2(67)P(|X150|<55k)>11k2

となります。この右辺が0.8となるkを求めて代入すると答えが求められる。

区間推定

区間推定の大分類と小分類を述べよ
  1. 母集団が正規分布
  2. 母集団がベルヌーイ分布
母集団が正規分布の平均を区間推定する解法を述べよ
母分散が既知の場合

(68)z=xμσ2/nN(0,1)

母分散が未知の場合

(69)z=xμs2/nt(n1)

ただし,s2は不偏分散とする。

母集団が正規分布の平均の差を区間推定する解法を述べよ
母分散が既知の場合

(70)z=xy(μxμy)σx2/m+σy2/nN(0,1)

母分散が未知の場合

(71)z=xy(μxμy)(1/m+1/n)s2t(m+n2)

ただし,s2はプールした不偏分散である。

(72)s2=1m+n2(i=1m(xix)2+i=1n(yiy)2)

母集団が正規分布の分散を区間推定する解法を述べよ
母平均が既知の場合

(73)v=i=1n(xiμσ)2χ2(n)

母平均が未知の場合

(74)v=i=1n(xixσ)2χ2(n1)

母集団がベルヌーイ分布の母比率平均を区間推定する解法を述べよ

(75)z=p^p0p0(1p0)/nN(0,1)

ただし,p^は標本比率,p0は母比率を表す。

母集団がベルヌーイ分布の母比率平均の差を区間推定する解法を述べよ

(76)z=p^1p^2(p1p2)p1(1p1)/n1p2(1p2)/n2N(0,1)

ただし,p^は標本比率,p1,p2は母比率を表す。

母相関係数の信頼区間を区間推定する解法を述べよ

(77)z=12log1+r1rN(12log1+ρ1ρ,1n3)

ただし,rは標本相関係数,ρは母相関係数を表す。

検定

検定の大分類と小分類を述べよ
  1. 母集団が正規分布
  2. 母集団がベルヌーイ分布
  3. 母集団がポアソン分布
  4. 母集団がχ2分布
母集団が分布のポアソン分布の平均を検定する解法を述べよ

(78)z=xnλnλN(0,1)

母集団がχ2分布の適合度を検定する解法を述べよ

(79)v=i=1n(xinpi)2npiχ2(n1)

分子は理論値とのズレ,分母は理論値と覚える。

母集団がχ2分布の独立性を検定する解法を述べよ

(80)v=i=1rj=1c(xijnijpij)2nijpijχ2((r1)(c1))

こちらも分子は理論値とのズレ,分母は理論値と覚える。

母集団が正規分布の等分散性を区間推定する解法を述べよ
母平均が未知の場合

(81)u=sx2sy2F(m1,n1)

無相関を検定する解法を述べよ

(82)t=|r|n21r2t(n1)

ただし,rは標本相関係数を表す。

母相関係数を検定する解放を述べよ

(83)z=12log1+r1r,ξ=12log1+ρ1ρ0

とおいたときに,

(84)zξ1/(n3)N(0,1)

z,ξの定義はz変換表で与えられるため覚える必要はありません。

母相関係数の差を検定する解放を述べよ

(85)z1=12log1+r11r1,z2=12log1+r21r2

とおいたときに,

(86)z1z21/(n13)+1/(n23)N(0,1)

z1,z2の定義はz変換表で与えられるため覚える必要はありません。

引っかかりポイント

0sin2x/x2dxの求め方を説明せよ

数検1級の範囲では,以下のディリクレ積分が与えられる。

(87)0sinxxdx=π2

ここで,早とちりして

(88)0(sinxx)2dx=(π2)2

としないこと。両辺を2乗すると

(89)(0sinxxdx)2=(π2)2

となる。正しくは,部分積分を用いて

(90)0(1x)sin2x dx=[sinxxsinx]0+02sinxcosxxdx(91)=0sin2xxdx

となるが,ここでも早とちりして

(92)0sin2xxdx=20sin2x2xdx=2π2=π

としないこと。dxがディリクレ積分と揃っていない。正しくはt=2xとおいて

(93)0sin2xxdx=0sintt/2(dt/2)=0sinttdt=π2

となる。

k=1k/(k4+k2+1)のアプローチを説明せよ

部分分数分解を疑う。分母は(k2+1)2k2=(k2+k+1)(k2k+1)と分数分解できるため,部分分数分解を行うことができそうである。

11/2+1/21/4+1/4+の収束先はどのように記述すればよいか

極限を用いて記述する。1/k1/(2k)1つの項として考えると,n項目までの和の極限は

(94)limn(112n)=1

となる。を用いて1だけ残ることを自明とするよりもベター。

tan12+tan13を求めよ(π/2<tan1x<π/2

X=tan12,Y=tan13とおいてtan(X+Y)を考える。

(95)tan(X+Y)=tanX+tanY1tanXtanY=2+3123=1

となり,0<X<π/2,0<Y<π/2より0<X+Y<πに注意するとX+Y=3π/4が得られます。

X+Yπ/2<tan1x<π/2としないことに注意する。

1+sinxを見て思い出すことは何か

2倍角の公式から

(96)(sinx2+cosx2)2=1+2sinx2cosx2=1+sinx

となるため,0<x<πのとき

(97)1+sinx=sinx2+cosx2

となること。

limx(x2+3x1x3+x213)の求め方を説明せよ

(1+x)nのマクローリン展開

(98)(1+x)n=1+nx+n(n1)2x2+

x1次の項以降を無視すると,

(99)x2+3x1x3+x213=x(1+3x1x3)1/3x(1+x1x3)1/3(100)x{1+12(3x1x3)}x{1+13(x1x3)}(101)=3212x213+13x2  76 (x)

二重根号の解答について注意点は何か

二重根号のまま解答せず,二重根号を外して解答するべき点

行列の階数を行列式から求める方法を説明せよ

行列の階数は小行列式の最大次数となる。ただし,最大次数がrであるとは「0とならないr次小行列が少なくとも1つ存在し,それより大きい次数の小行列式は全て0となる」と定義される。

例えば

(102)A=(112112121)

3次小行列式は0となるが2次小行列の中には0とならないものが存在するため,Aの小行列式の最大次数は2となる。ゆえに,Aの階数は2となる。この例の場合は行基本変形を用いて階段の形に変形する方法が行列の階数を求めるには簡単だろう。

小行列式は首座小行列式とは限りません。行番号と列番号を適当に選べます。

係数行列と拡大係数行列の階数により連立方程式の解を判別せよ
  • 係数行列と拡大係数行列の階数が等しい場合:解が存在する(不定形含む)
  • 係数行列と拡大係数行列の階数が等しくない場合:解が存在しない
「この数はn次の代数方程式の解の1つです」系の問題の解き方を説明せよ

与式をxとおいてn乗する。例えば

(103)6+980273+6980273

3次の代数方程式の解の1つであるときに方程式を求めるためには,与式をxとおいて3乗することで

(104)x3=122x

という関係式が得られる。これによりx3+2x12=0と求められる。

複雑なn乗根が与えられたときの対応について説明せよ

与式をxとおいてn乗することでxの関係式を導き,代数方程式の解として綺麗な形を求める。例えば

(105)6+143533+6143533

が与えられたときに,これをxとおいたときの代数方程式はx3+2x12=0となるが,この方程式を解くと

(106)x=2,1±5

と求められる。与式がこの3解のうちどれに相当するのかを,x=a+b5/3の形の恒等式を立てて両辺を3乗して求める。

tan1の中身が複雑なときの対応について説明せよ

公式

(107)tan1AB1+AB=tan1Atan1B

を利用する。例えば

(108)k=1ntan11k2+k+1=k=1ntan1(k+1)k1+(k+1)k(109)=k=1n{tan1(k+1)tan1k}(110)=tan1(n+1)tan11=tan1(n+1)π4

のように用いる。

y3=27を解け

因数分解すると

(111)(y3)(y2+3y+9)

となるため,

(112)y=3,3±33i2

となる。決してy=3のように早とちりしないこと。

k=1k3/k!を求めよ

k=11/k!=eを利用するため,分子を階乗の形で表すことを目指す。

(113)k3=k(k1)(k2)+ak(k1)+bk(114)=k3+(a3)k2+(2a+b)k

とおくと,(a,b)=(3,1)となるため,

(115)k=1k3k!=k=1k(k1)(k2)+3k(k1)+kk!(116)=k=31(k3)!+3k=21(k2)!+k=11(k1)!(117)=e+3e+e=5e

が得られる。

α>0に対しn=11/nαの収束を判定せよ

コーシーの積分判定法によりn=1f(n)1f(x)dxの収束と発散は対応する。f(x)=1/xαとおくと,0<α<1のとき

(118)1f(x)dx=limR[x1α1α]0R=limRR1α1α=+

となるため発散する。α=1のとき

(119)1f(x)dx=limR[logx]0R=limRlogR=+

となるため発散する。α>1のとき

(120)1f(x)dx=limR[x1α1α]0R=limRR1α1α=1α1

となるため収束する。

行列式を二つの行列式に分解する際の注意点を述べよ

セルだけで考えずに,行もしくは列セットで考えること。具体的には,

(121)|1+x11111+x21111+x3|=|11111+x21111+x3|+|x11111+x21111+x3|

とせずに,

(122)|1+x11111+x21111+x3|=|11111+x21111+x3|+|x11101+x21011+x3|

としなければならない。

k=1n(1)k+1nCk/kを求めよ

xkを付けて微分を利用する。

(123)f(x)=k=1n(1)k+1nCkkxk

とおくと,f(1)を求めればよい。両辺を微分すると

(124)f(x)=k=1n(1)k+1nCkxk1(125)=1x(k=0nnCk(x)k1)=1(1x)nx

となるため,f(0)=0に注意すると

(126)f(1)=01f(x)dx=011(1x)nxdx=011tn1tdt(127)=01(1+t+t22++tn1)dt=1+12+13+1n

となる。

オイラー定数を説明せよ

1+1/2+logenの発散スピードはほぼ同じであり,その差をオイラー定数γという。

(128)γ=limn(k=1n1klogen)

limn(x2+3x1x3+x213)の求め方を説明せよ

いずれもxの次数は1となるため,

(129)(x2+3x1x)(x3+x213x)

を有理化して分数の極限を考えればよい。

ルートをとるときの注意点

実数の議論をしている場合はルートをとる前に正であることを確認する。例えば,

(130)(xa)2={(x+a)(xa)}2

とするときにはx>0およびa>0をしっかりと確認すること。

コーシーシュワルツの不等式とその活用方法を説明せよ

任意の正の整数nに対して

(131)(i=1nai2)(i=1nbi2)(i=1naibi)2

が成り立つ。ただし,等号成立条件はi=1,2,,nに対しaixbi=0となるxが存在することである。

ai0のときは等号成立条件をb1/a1==bn/anと理解するとよいでしょう。

これは例えばx,y,z>0,x+y+z=1のときx2+y2+z2の最小値を求めるような問題で活躍する。コーシーシュワルツの不等式より

(132)(1+1+1)(x2+y2+z2)(x+y+z)2=1

となるため,x2+y2+z2

(133)x1=y1=z1

のとき,すなわちx=y=z=1/3のとき最小値1をとる。他にも,コーシーシュワルツの不等式より

(x2+y2+z2)(1x2+1y2+1z2)(134)=(x+y+z)(1x+1y+1z)(135)=1x+1y+1z(x1x+y1y+z1z)2=9

となるため,1/x+1/y+1/z

(136)x1/(1/x)=y1/(1/y)=z1/(1/z)

のとき,すなわちx=y=z=1/3のときに最小値9をとる。

片方の変数に関して複雑な累次積分の注意点を述べよ

積分領域を図示して必ず簡単な順序で行う。例えば,

(137)02(y2xx3+1dx)dy

xyの順番で積分しているが,積分領域を図示してyxの順番に入れ替えると

(138)02(0xdy)xx3+1dx=02x2x3+1dx=1319t1/2dt=529

と簡単に計算できる。

極座標変換の注意点を述べよ

ヤコビアンrを忘れないこと。答えに違和感がない場合は気づくことが難しいため,十分注意する。

狙われる可能性は低いポイント

極方程式rcos(θα)=a (a>0)は何を表すか

原点Oと異なる点(a,α)を通りOAに垂直な直線。cosの定義を思い浮かべればよい。極方程式を覚える必要はないが,この極方程式が与えられた際に図形を描けるようになる必要がある。

極方程式r=2acos(θα) (a>0)は何を表すか

中心が(a,α)で半径がaの円。cosの定義を思い浮かべればよい。極方程式を覚える必要はないが,この極方程式が与えられた際に図形を描けるようになる必要がある。

極方程式r=acos2θ (a>0)は何を表すか

正葉線。「+」を半時計回りにπ/4回転させたような図形である。極方程式を覚える必要はないが,この極方程式が与えられた際に図形を描けるようになる必要がある。

極方程式r=a(1+cosθ) (a>0)は何を表すか

カージオイド。いわゆる心臓形である。極方程式を覚える必要はないが,この極方程式が与えられた際に図形を描けるようになる必要がある。

極方程式r2=2a2cos2θ (a>0)は何を表すか

レムニスケート。8を横にしたような図形である。極方程式を覚える必要はないが,この極方程式が与えられた際に図形を描けるようになる必要がある。

極方程式で表された図形の面積の求め方を述べよ

(139)S=αβ12r2dθ=αβ12{f(θ)}2dθ

曲線の長さの求め方を述べよ

(140)l=ab(dxdt)2+(dydt)2dt=ab1+{f(x)}2dx

ただし,途中の変形ではx=tかつy=f(t)とおき,txとおきなおした。

x=tanθとおきたくなりますが,計算が煩雑になってしまいます。

曲面積の求め方を述べよ

(141)S=D1+{fx(x,y)}2+{fy(x,y)}2dxdy

曲線とは異なり平行四辺形の微小面積から求められます。

1+x2dxの求め方を説明せよ

(142)I=1+x2dx

とおいて部分積分を適用してIを再び出現させる。

ガウス積分を述べよ

(143)eax2dx=πa(a>0)

2変数関数の極値に関して説明せよ
  • 偏導関数の値が全て0でヘッセ行列が正定値ならば極小値
  • 偏導関数の値が全て0でヘッセ行列が負定値ならば極大値
  • 偏導関数の値が全て0でヘッセ行列が不定値ならば鞍点
  • 偏導関数の値が全て0でヘッセ行列が正定値または半負定値ならば極値判定不能
包絡線の求め方を述べよ

パラメータを変数とみなして偏微分をして偏導関数が0になるパラメータを元の式に代入する。

3重積分の極座標変換とヤコビアンを述べよ

(144){x=rsinθcosφy=rsinθsinφz=rcosθ

とおくとき,ヤコビアンは

(145)J=r2sinθ

となる。

積分における特異点の処理について述べよ

積分範囲で被積分関数が発散した場合には適当な変数に置き換えて広義積分を利用する

内積が満たすべき性質を述べよ

(f,g)が内積であることを示すためには,

  • (f,g)=(g,f)
  • (cf,g)=c(f,g)
  • (f1+f2,g)=(f1,g)+(f2,g)
  • (f,f)0
  • (f,f)=0ならばf=0

を確認すればよい。

球面積の公式を述べよ

(146)S=4πr2

球の体積の公式である4πr3/3rに関して微分するイメージで覚えるとよい。

懺悔集

「最大」と「最小」を読み間違えた

連立合同式

(147){x4(mod7)x7(mod17)

を満たす5000未満の整数xのうち最大のものを求めよという問題で「最小」を答えてしまった。わざわざ5000未満と書いてあることは目に入ったが最小を求めていることに疑いを持てなかった。

固有方程式を頭の中で計算してサラスの公式の後半にλを入れるのを忘れた

(148)(352446235)

の固有値を求める際に,サラスの公式を頭の中で計算したことにより,

(149)(3λ)(4λ)(5λ)+6024{1654+100}=0

としてしまい,固有方程式の解が求められなかった。この懺悔から学べる点としては

  1. AλInはしっかり手を動かして書くこと
  2. 固有方程式の解が見つからない場合は固有方程式自体を疑うこと
  3. 行基本変形を用いた余因子展開により検算すること

が挙げられる。特に

(150)|3λ5244λ6235λ|

をしっかり書いて固有値・固有ベクトルが見つかれば,実質検算できていることになる。1.が本当に大切である。

一階線形微分方程式で左辺をはらった後に右辺の積分定数を加えた

一階線形微分方程式である

(151)y2y=sinx

において,両辺にe2xをかけて

(152)(e2xy)=e2xsinx

とし,両辺をxで積分して

(153)e2xy=25e2xsinx15e2xcosx+C

とするまではよかったが,両辺にe2xをかけて

(154)y=25sinx15cosx+C

としてしまった。これは,積分定数を頭の中で付け加えていたから起きてしまった間違いであり,やはり途中式は省略せずに全て記述するように心がけた方がよい。

母集団のサイズとサンプルサイズを混同した

1000人のうち800人を無作為に抽出し…」という文章を読んで1000人をサンプルサイズだと勘違いしてしまった。800人がサンプルサイズでn=800だ。1000という母集団のサイズは使わないこともあるため注意。

カルダノの公式でu,vの必要条件を求めるフェーズで手が止まった

(155)y3+py+q=0

y=u+vとおいて

(156)u3+v3+q+3(u+v)(uv+p3)=0

までは変形できたが,

(157){u3+v3+q=0uv+p3=0

が思い浮かばなかった。同値変形ではなく必要条件に舵を切って代数学の基本定理により十分性を担保するという流れが染み付いていなかった。u3+v3は和に関する条件なのでu+vではなくuvに関する条件を抽出する点も難しい。u+vの項は無視してしまう感覚を何回も味わっておくとよい。

微分方程式で置換しても綺麗な形にならなそうだからといって置換を諦めた

積分の問題であれば置換後の結果はある程度綺麗になっていないと意味がない。しかし,微分方程式であれば置換の結果が多少汚くとも解くことができる可能性が高い。具体的には,

(158)y(1xylogxlogy)x(xy+logx+logy)

という式に対し,明らかにt=xyというブロックが見えるのにy/xの項が消えなさそうだからといって置換の計算を試さなかった。t=xyとおいてyを消去すれば

(159)f(t)dt=g(x)dx

の変数分離系に帰着した。

二次合同式で±を付け忘れた

下記の二次合同式

(160)x227(mod33)

2733の公倍数が3であることに注目してx=3yとおくと

(161)y23(mod11)

となるが,ここでy=5+11kとしてしまった。正しくはy=±5+11kである。

シェアはこちらからお願いします!

コメント

コメント一覧 (2件)

  • (63)の特異点はx=±2なのでc0として積分区間を2x2c, 2cx2+c, 2+cx3の3つに分けなきゃいけないのでは。

    • いとう様
      ご指摘ありがとうございます。問題の積分区間が誤っていたので本文を修正しました。

いとう へ返信する コメントをキャンセル

※ Please enter your comments in Japanese to distinguish from spam.