【徹底解説】二次形式の行列による表現

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

二次形式の行列による表現

$V$を$\mK$上のベクトル空間,$f$を$V$上の二次形式またはエルミート形式とする。ただし,$\mK$は複素数空間$\mC$または実数空間$\mR$を表す。$\beta$を$V$の一つの基底とし,$A$を$\beta$に関する$f$の表現行列とする。$u$を$V$の任意の元とし,これらの$\beta$に関する座標ベクトルを

\begin{alignat}{2}
[u]_{\beta}&=\vx&&=[x_{1},\ldots,x_{n}]^{T}
\end{alignat}

とする。このとき,$f$が二次形式ならば

\begin{align}
f(u) &= \vx^{T}A\vx
\end{align}

が成り立ち,$f$がエルミート形式ならば

\begin{align}
f(u) &= \overline{\vx}^{T}A\vx
\end{align}

が成り立つ。

多くの書籍や資料では証明せずに用いられる定理です。

証明

双一次形式の行列による表現において,双一次形式を二次形式,共役双一次形式をエルミート形式に置き換えることにより,ただちに上の主張は示されます。

補足

逆に,ある正方行列$A=(a_{ij})\in M_{n}(\mK^{n})$に対し,

\begin{align}
f(\vx) &= \vx^{T}A\vx
\end{align}

で定義される写像$f:\mK^{n}\times\mK^{n}$を二次形式と定義することもできます。ただし,$M_{n}(\mK^{n})$は$\mK$上の$n$次元正方行列全体の集合を表します。同様に,

\begin{align}
f(\vx) &= \overline{\vx}^{T}A\vx
\end{align}

で定義される写像$f:\mK^{n}\times\mK^{n}$をエルミート二次形式と定義することもできます。

シェアはこちらからお願いします!

コメント

コメントする

※ Please enter your comments in Japanese to distinguish from spam.

目次