本稿では,代表的な微分方程式の解法をお伝えします。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
ラグランジュ(ダランベール)の微分方程式
以下の形をしたものをラグランジュ(ダランベール)の微分方程式と呼びます。
y &= f(y^{\prime})x + g(y^{\prime})
\end{align}
クレローの微分方程式において,$x$の係数が$p$の関数となっている方程式です。
解法
クレローの微分方程式と同様に$p{=}y^{\prime}$と置いて両辺を$x$で微分すると一階非同次形微分方程式となり,$p$を媒介変数とする解が得られます。具体的には
\begin{cases}
x = \cdots \\[0.7em]
y = \cdots
\end{cases}
が得られるイメージを常に持つとよいでしょう。$x$の媒介変数表示を求める際に$dp/dx$を$dx/dp$に反転する過程がポイントです。
ラグランジュの微分方程式は「解が媒介変数表示で得られる」ということを知っていないと解けないでしょう。仮に知っていた場合は「$dp/dx$を$dx/dp$に反転する過程」も天下り的な操作ではなくなります。
例題
以下の例題を解きましょう。ただし,初期条件は与えないため定数項はそのまま残してよいです。
y &= (y^{\prime}+1)x + \left( y^{\prime}\right)^2
\end{align}
$p=y^{\prime}$と置くと,
y &= (p+1)x+p^2 \label{主題}
\end{align}
となります。両辺を$x$で微分します。
y^{\prime} &= p^{\prime}x+(p+1)+2pp^{\prime}
\end{align}
$p=y^{\prime}$に注意すると,
(x+2p)\frac{dp}{dx} &= -1
\end{align}
と変形できます。$x$の媒介変数表示を求めるために$dp/dx$を$dx/dp$に反転すると,以下の一階線形微分方程式が得られます。
\frac{dx}{dp} +x = -2p
\end{align}
一階線形微分方程式で説明した解法に基づくと,
x &= Ce^{-p}-2p+2\label{解}
\end{align}
が得られます。式($\ref{主題}$)と式($\ref{解}$)より,求める解は
\begin{cases}
x = Ce^{-p}-2p+2 \\[0.7em]
y = (p+1)x + p^2
\end{cases}
となります。
コメント
コメント一覧 (3件)
合っているか自信がないのですが、(7)の式の右辺の最後の項のeの指数は-xではなく、-pではないでしょうか?
tomi様
ご質問ありがとうございます!そしてご返信遅れてしまい大変失礼しました。こちら確認後返信差し上げますので,少々お待ちください。
tomi 様
ご返信遅れてしまい,大変失礼しました。仰る通りですので,本文を修正致しました。ご指摘誠にありがとうございます。