本稿では,代表的な微分方程式の解法をお伝えします。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
クレローの微分方程式
次の形をした微分方程式を,クレローの微分方程式と呼びます。
\begin{align}
y &= xy^{\prime} + f(y^{\prime})
\end{align}
y &= xy^{\prime} + f(y^{\prime})
\end{align}
$y^{\prime}=\ldots$の形にならない非正規系の微分方程式の代表例です。
解法
$p=y^{\prime}$と置いて両辺を$x$で微分すると,一般解と特異解の両方が得られます。一般解は任意定数を用いて表され,特異解はパラメータ$p$を用いた媒介変数表示で表されます。特異解のパラメータ$p$は消すことができる場合と出来ない場合があります。
一般解は直線群で,特異解は一般解の包絡線となっています。このことからも,一般解の任意定数をどのように変化させても特異解とならないことが分かります。
例題
以下の例題を解きましょう。ただし,初期条件は与えないため定数項はそのまま残してよいです。
\begin{align}
y &= xy^{\prime} + \left( y^{\prime}\right)^2
\end{align}
y &= xy^{\prime} + \left( y^{\prime}\right)^2
\end{align}
$p=y^{\prime}$と置くと,
\begin{align}
y &= xp+p^2 \label{主題}
\end{align}
y &= xp+p^2 \label{主題}
\end{align}
となります。両辺を$x$で微分して整理すると,
\begin{align}
(x+2p)p^{\prime} &= 0
\end{align}
(x+2p)p^{\prime} &= 0
\end{align}
となります。よって,$p^{\prime}=0$または$x+2p=0$が得られます。$p^{\prime}=0$のときは$p=C$となりますので,式($\ref{主題}$)に代入すると一般解が得られます。
\begin{align}
y &= Cx + C^2
\end{align}
y &= Cx + C^2
\end{align}
$x+2p=0$のとき,式($\ref{主題}$)との連立方程式を考えると,
\begin{align}
(x, y) &= (-2p, -p^2)
\end{align}
(x, y) &= (-2p, -p^2)
\end{align}
が得られます。今回はパラメータ$p$を消去できますので,
\begin{align}
y &= -\frac{1}{4}x^2
\end{align}
y &= -\frac{1}{4}x^2
\end{align}
が得られます。したがって,求める解は
\begin{align}
y &= Cx + C^2,\quad
y = -\frac{1}{4}x^2
\end{align}
y &= Cx + C^2,\quad
y = -\frac{1}{4}x^2
\end{align}
となります。
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