【徹底解説】特異値と特異ベクトルの定義

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

特異値と特異ベクトル

零行列でない行列$A\in\mK^{m\times n}$と零ベクトルでない$\vu\in\mK^{m}$,$\vv\in\mK^{n}$に対して,

\begin{align}
A\vv &= \sigma\vu,\quad A^{\ast}\vu = \sigma\vv\label{主題}
\end{align}

を満たす正数$\sigma$を特異値,$\vu$を左特異ベクトル,$\vv$を右特異ベクトルといい,$\vu$と$\vv$を合わせて特異ベクトルという。ただし,$\mK$は複素数空間$\mC$または実数空間$\mR$を表す。

下で見るように,特異値と特異ベクトルは対称行列の固有値と固有ベクトルに対応します。一方で,特異値を求めるためには必ずしも固有値を経由する必要はなく,ハウスホルダー法によって二重対角行列に変換してゴラブ・ラインシュ法を適用する方法などがあります。

補足

式($\ref{主題}$)の第二式の両辺に右から$A$を掛け,第一式の両辺に左から$A^{\ast}$を掛けると,

\begin{align}
AA^{\ast}\vu &= \sigma^{2}\vu,\quad A^{\ast}A\vv = \sigma^{2}\vv
\end{align}

が得られます。したがって,左特異ベクトル$\vv$はエルミート行列$AA^{\ast}\in\mK^{m\times m}$の固有ベクトルであり,右特異ベクトル$\vu$はエルミート行列$A^{\ast}A\in\mK^{n\times n}$の固有ベクトルであることが分かります。同時に,特異値の二乗$\sigma^{2}$は$AA^{\ast}$と$A^{\ast}A$の共通の固有値であることも分かります。

エルミート行列の固有値は実数であることから$\sigma^{2}$が実数であることが保証されます。

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