本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
既約剰余系
自然数$n$を法とする既約剰余類を考える。各規約剰余類から一つずつ取り出した代表元からなる集合を,$n$を法とする規約剰余系という。
具体例
$n=12$のときを考えます。既約剰余類の個数より既約剰余類は全部で$\varphi(12){=}4$個あり,
\begin{align}
R(1),\quad
R(5),\quad
R(7),\quad
R(11)
\end{align}
R(1),\quad
R(5),\quad
R(7),\quad
R(11)
\end{align}
となります。これらの既約剰余類から代表元を取り出して作られる集合
\begin{align}
\{1,5,7,11\},\quad
\{13,5,7,11\},\quad
\{1,-7,19,-1\},\quad\cdots
\end{align}
\{1,5,7,11\},\quad
\{13,5,7,11\},\quad
\{1,-7,19,-1\},\quad\cdots
\end{align}
は全て既約剰余系となります。
$n$を法とする既約剰余系の元の個数は$\varphi(n)$個となります。
補足
すべての剰余類から代表元をとって得られる集合を完全代表系とよぶため,完全既約剰余系の定義は「既約剰余類それぞれから代表元を取ってきた集合」が分かりやすいです。また,完全既約剰余系のことを単に既約剰余系とよぶことが多いです。完全既約剰余系と既約剰余系の使い分けに混乱してしまう方もおられるかと思います。「既約剰余類それぞれから代表元を取ってきた集合を完全既約剰余系とよび、その部分集合を既約剰余系とよぶ」という定義であれば分かりやすいのですが,ここら辺は前後の文脈から定義を判断するしかなさそうです。
参考文献
本稿の執筆にあたり参考にした文献は,以下でリストアップしております。


コメント
コメント一覧 (3件)
以前から疑問に思うことがあるのでお聞きしたいのですが、例えば12の既約剰余系は12と互いに素である{1,5,7,11}だけなのか、その部分集合である{5,7}のようなものも既約剰余系と考えていいのか分かりません。又完全既約剰余系とはどのようなものかも教えて頂ければありがたいです。
コメントありがとうございます。
代表的な教科書をあたってみましたが、どちらの定義も使われているみたいです。すべての剰余類から代表元をとって得られる集合を完全代表系とよぶため、個人的には完全既約剰余系の定義は「既約剰余類それぞれから代表元を取ってきた集合」が分かりやすいと思っています。また、完全既約剰余系のことを単に既約剰余系とよぶことが多そうです。「既約剰余類それぞれから代表元を取ってきた集合を完全既約剰余系とよび、その部分集合を既約剰余系とよぶ」という定義であれば分かりやすいのですが、ここら辺は前後の文脈から定義を判断するしかなさそうです。
お返事遅くなり誠に申し訳ありません。私も幾つかのサイトを見て定義が異なるような気がしました。お忙しいところ時間を割いて色々調べていただきありがとうございました。数学でも不確定であいまいなことがあることを認識しました。