本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
既約剰余類
次の同値な条件を満たす$n$を法とする剰余類$R(a)$を,$n$を法とする既約剰余類という。
- $R(a)$の中に$n$と互いに素となる整数$b$が存在する
- $R(a)$に属する任意の整数$c$は$n$と互いに素である
補足
1.と2.の同値性について確認しておきましょう。
1.⇒2.
剰余類の定義より,$n$を法とする$a$の剰余類の要素$b,c$は自然数$h,k$を用いて
\begin{align}
b = a + hn,\quad
c = a + kn
\end{align}
b = a + hn,\quad
c = a + kn
\end{align}
と表されます。すると,最大公約数と除算の余りの関係より
\begin{align}
\gcd(c,n) = \gcd(c-kn,n) = \gcd(a, n) = \gcd(a+hn, n) = \gcd(b, n) = 1
\end{align}
\gcd(c,n) = \gcd(c-kn,n) = \gcd(a, n) = \gcd(a+hn, n) = \gcd(b, n) = 1
\end{align}
となるため,$c$と$n$が互いに素であることが示されました。
2.⇒1.
$R(a)$に属する任意の整数は$n$と互いに素であるため,$R(a)$の中には少なくとも$a$が含まれることに注意すると,$n$と互いに素となる整数としては$a$が存在します。
参考文献
本稿の執筆にあたり参考にした文献は,以下でリストアップしております。
コメント