本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
第一種ベッセル関数の係数に関する性質
第一種ベッセル関数を$J_{m}(x)$と置くと,以下が成り立つ。
\begin{align}
J_{m}(x) &= tJ_{m+1}(x)\\[0.7em]
J_{m}(x) &= \frac{1}{t}J_{m-1}(x)
\end{align}
J_{m}(x) &= tJ_{m+1}(x)\\[0.7em]
J_{m}(x) &= \frac{1}{t}J_{m-1}(x)
\end{align}
第一種ベッセル関数の漸化式などで係数をずらしたい場合などに利用される性質です。
証明
第一種ベッセル関数の母関数の定義より,以下が成り立ちます。
\begin{align}
\exp\left\{ \frac{x}{2}\left(t-\frac{1}{t}\right) \right\} &= \sum_{m=-\infty}^{\infty}J_{m}(x)t^m\label{母関数}
\end{align}
\exp\left\{ \frac{x}{2}\left(t-\frac{1}{t}\right) \right\} &= \sum_{m=-\infty}^{\infty}J_{m}(x)t^m\label{母関数}
\end{align}
式($\ref{母関数}$)の右辺に注目すると,
\begin{align}
\sum_{m=-\infty}^{\infty}J_{m}(x)t^m &= \sum_{m=-\infty}^{\infty}tJ_{m}(x)t^{m-1} \\[0.7em]
&= \sum_{m=-\infty}^{\infty}tJ_{m+1}(x)t^{m}
\end{align}
\sum_{m=-\infty}^{\infty}J_{m}(x)t^m &= \sum_{m=-\infty}^{\infty}tJ_{m}(x)t^{m-1} \\[0.7em]
&= \sum_{m=-\infty}^{\infty}tJ_{m+1}(x)t^{m}
\end{align}
という関係が成り立ちます。したがって,以下が得られます。
\begin{align}
J_{m}(x) &= tJ_{m+1}(x)
\end{align}
J_{m}(x) &= tJ_{m+1}(x)
\end{align}
同様に,
\begin{align}
\sum_{m=-\infty}^{\infty}J_{m}(x)t^m &= \sum_{m=-\infty}^{\infty}\frac{1}{t}J_{m}(x)t^{m+1} \\[0.7em]
&= \sum_{m=-\infty}^{\infty}\frac{1}{t}J_{m-1}(x)t^{m}
\end{align}
\sum_{m=-\infty}^{\infty}J_{m}(x)t^m &= \sum_{m=-\infty}^{\infty}\frac{1}{t}J_{m}(x)t^{m+1} \\[0.7em]
&= \sum_{m=-\infty}^{\infty}\frac{1}{t}J_{m-1}(x)t^{m}
\end{align}
という関係が成り立ちます。したがって,以下が得られます。
\begin{align}
J_{m}(x) &= \frac{1}{t}J_{m-1}(x)
\end{align}
J_{m}(x) &= \frac{1}{t}J_{m-1}(x)
\end{align}
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