【徹底解説】基底と同型写像

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

基底と同型写像

$V$を$\mK$上の$n$次元ベクトル空間,$\beta{=}\langle\vu_{1},\ldots,\vu_{n}\rangle$を$V$の基底とする。ただし,$\mK$は複素数空間$\mC$または実数空間$\mR$を表す。$V$の任意の元は基底の一次結合で一意的に表されることから,

\begin{align}
\varphi\left(\sum_{i=1}^{n}v_{i}\vu_{i}\right) &= [v_{1},\ldots,v_{n}]^{T}\label{主題1}
\end{align}

を満たす同型写像$\varphi:V{\rightarrow}\mK^{n}$を定義することができる。ただし,$v_{i}$は実数とする。逆に,同型写像$\varphi:V{\rightarrow}\mK^{n}$があるとき,$\mK^{n}$の標準基底$\langle\ve_{1},\ldots,\ve_{n}\rangle$と$i{=}1,\ldots,n$に対し,

\begin{align}
\vu_{i} &= \varphi^{-1}(\ve_{i})\label{主題2}
\end{align}

とすると,$\beta{=}\langle\vu_{1},\ldots,\vu_{n}\rangle$は$V$の基底となる。

$V$の基底を一つ選ぶことは,$V$から$\mK^{n}$への同型写像を一つ選ぶことに相当するということです。

証明

ベクトル空間と同型の性質を利用すると,$\mK^{n}$上の$n$次元ベクトル空間$V$と$\mK^{n}$は同型になりますので,写像$\varphi$は同型写像になります。逆に,同型写像$\varphi:V{\rightarrow}\mK^{n}$があるとき,全単射な写像の逆変換も全単射となりますので,同型写像$\varphi$の逆写像$\varphi^{-1}$は存在し,かつ$\varphi^{-1}$は同型写像となります。すると,$V$の任意の元は$\vu_{1},\ldots,\vu_{n}$の一次結合で表されますので,$\beta{=}\langle\vu_{1},\ldots,\vu_{n}\rangle$は$V$の基底となります。

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