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目次
危険率
確率変数$T$とその実現値$t\geq 0$に対し,危険率$l(t)$は以下のように定義される。
\begin{align}
l(t) \triangleq \lim_{\Delta \rightarrow 0}
\frac{1}{\Delta} p(t \leq T < t+\Delta \mid T \geq t) \label{危険率}
\end{align}
l(t) \triangleq \lim_{\Delta \rightarrow 0}
\frac{1}{\Delta} p(t \leq T < t+\Delta \mid T \geq t) \label{危険率}
\end{align}
指数分布は危険率が$\lambda$,ワイブル分布は危険率が$ct^b$の確率分布として導出されます。また,確率分布の無記憶性とも非常に密接な関係があります。
補足
危険率の定性的な理解を促す補足をしておきます。以下の条件付き確率
\begin{align}
p(t \leq T < t+\Delta \mid T \geq t) \label{条件付き確率}
\end{align}
p(t \leq T < t+\Delta \mid T \geq t) \label{条件付き確率}
\end{align}
は,$T \geq t$であると分かっている状況において,$t \leq T < t+\Delta$となる確率を表しています。 ここで,確率変数$T$を時刻$0$に誕生した人が死亡する時刻と定義することにします。 すると,条件付き確率($\ref{条件付き確率}$)は,時刻$t$までは生きていると分かっている人が,時刻$t$以降の$\Delta$時間経過する間に死亡する確率のことを表しています。
以上より,条件付き確率($\ref{条件付き確率}$)を$\Delta$で割ったものは,時刻$t$以降における単位時間あたりの死亡確率を表しています。危険率の定義式($\ref{危険率}$)は,単位時間あたりの死亡確率において$\Delta \rightarrow 0$としたものになっていますので,$l(t)$は
「時刻$t$まで生きている人が次の瞬間死亡する確率」
を表していると言えます。
参考文献
本稿の執筆にあたり参考にした文献は,以下でリストアップしております。
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