【問題集解答】統計検定1級公式テキスト問1.2

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目次

解答

小問1

一変数に関する変数変換の問題です。変数変換を一変数バージョンに書き換えてみましょう。$f_X(x)$を$U=g(X)$によって$f_U(u)$に変換することを考えます。確率変数が離散の場合は,ヤコビアンを考えずに以下のようにします。

\begin{align}
f_U(u) &= f_X\left(h(u)\right)
\end{align}

ただし,$h(u)$は$g(x)$の逆関数です。確率変数が連続の場合は,ヤコビアンを考えて以下のようにします。ただし,一変数ですので,ヤコビアンは単に導関数の絶対値になります。

\begin{align}
f_U(u) &= f_X\left(h(u)\right) |J(u)|\\[0.7em]
&= f_X\left(h(u)\right) \left|\frac{dh(u)}{du}\right|
\end{align}

さて,こちらの式に当てはめて今回の問題を考えていきましょう。今回は$Y=1/X$ですので,$g(x)=1/x$となります。このとき,$g$の逆関数は$h(y)=1/y$となります。また,$dh(y)/dy=-1/y^2$となります。以上を踏まえれば,

\begin{align}
f_Y(y) &= f_X\left(h(y)\right) \left|\frac{dh(y)}{dy}\right|\\[0.7em]
&= \frac{1}{\pi \left(1+\left(1/y\right)^2 \right)} \left| -\frac{1}{y^2} \right|\\[0.7em]
&= \frac{1}{\pi (1+y^2)}
\end{align}

となります。

小問2

今度は二変数の変数変換の問題です。まずは,$X$と$Y$は標準正規分布に従いますので,同時確率密度関数は以下のようになります。

\begin{align}
f_{XY}(x,y) &= \frac{1}{2\pi}\exp \left\{ -\frac{1}{2}(x^2 + y^2)\right\}
\end{align}

今回の問題のポイントは,片方の変数を$U=X$などとして二組の式を考えて,一対一関数を作ることです。具体的には,以下のような変数変換を考えます。

\begin{align}
U &= X \\[0.7em]
V &= \frac{Y}{X}
\end{align}

こいつを変数変換に当てはめていきます。まず,$U=\cdots$と$V=\cdots$を$X=\cdots$と$Y=\cdots$に変えましょう。こうすることで,$g$の逆関数$h$が求められます。

\begin{align}
X
&= U \\[0.7em]
&= h_1(u, v)\\[0.7em]
Y
&= UV \\[0.7em]
&= h_2(u, v)
\end{align}

すると,ヤコビアンも求められます。

\begin{align}
J(u, v) &= \left|
\begin{array}{cc}
\frac{\partial h_1(u,v)}{\partial u} & \frac{\partial h_1(u,v)}{\partial v} \\
\frac{\partial h_2(u,v)}{\partial u} & \frac{\partial h_2(u,v)}{\partial v} \\
\end{array}
\right| \\[0.7em]
&= \left|
\begin{array}{cc}
1 & 0 \\
v & u \\
\end{array}
\right| \\[0.7em]
&= u
\end{align}

したがって,$U$と$V$の同時確率密度関数は

\begin{align}
f_{UV}(u, v) &= \frac{1}{2\pi}\exp \left\{ -\frac{1}{2}(u^2 + u^2v^2)\right\} |u|
\end{align}

となります。求めたいのは$V$の周辺確率密度関数ですので,$U$について積分してあげて周辺化します。$f_{XY}(x,y)$が$y$軸対象であることに注意して絶対値を外してあげましょう。

\begin{align}
f_{V}(v) &= \int_{-\infty}^{\infty} f_{UV}(u, v) du \\[0.7em]
&= 2\int_{0}^{\infty} f_{UV}(u, v) du \\[0.7em]
&= \int_{0}^{\infty}\frac{1}{\pi}\exp \left\{ -\frac{1}{2}(u^2 + u^2v^2)\right\} |u| du \\[0.7em]
&= \frac{1}{\pi}\left[ -\frac{1}{v^2 + 1} \exp\left\{ -\frac{v^2 + 1}{2}u^2 \right\} \right]^{\infty}_{0} \\[0.7em]
&= \frac{1}{\pi(v^2 + 1)}
\end{align}

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