【問題集解答】統計検定1級公式テキスト問1.1

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目次

解答

一様分布を題材として種々の確率の計算ができるかどうかを確認する問題です。

小問1

累積分布関数の定義から,計算を進めていきましょう。$X$が$x$よりも小さくなるのは,$U$も$V$も$x$より小さいときです。

\begin{align}
G_1(x) &= \int_{-\infty}^{x} 1~dX \\[0.7em]
&= \int_{-\infty}^{x} 1~dU \int_{-\infty}^{x} 1~dV \\[0.7em]
&= x \cdot x \\[0.7em]
&= x^2
\end{align}

同様に,$Y$に関しても余事象を利用して考えていきます。$Y$が$y$よりも大きくなるのは,$U$も$V$も$y$より大きいときです。

\begin{align}
G_2(y) &= 1 - P(y < Y)\\[0.7em]
&= 1 - \int_{y}^{\infty} 1~dY \\[0.7em]
&= 1 - \int_{y}^{\infty} 1~dU \int_{y}^{\infty} 1~dV \\[0.7em]
&= 1 - (1-y)^2
\end{align}

小問2

確率密度関数が累積分布関数の微分として求められることが理解できているかを確認する問題です。

\begin{align}
g_1(x) &= \frac{d G_1(x)}{dx}\\[0.7em]
&= 2x \\[0.7em]
g_2(y) &= \frac{d G_2(y)}{dy}\\[0.7em]
&= 2(1-y)
\end{align}

別解としては,累積分布関数を経由しないという方法です。例えば,$g_1(x)$は$U$と$V$の両方が$x$以下,かつ一方が$x$という値を取るような状況を考えればOKです。これは,$x$という値を取る確率変数の選び方で$2$通り,もう一方の確率変数が$x$以下の値を取る確率が$x$であるため,答えは$2x$になります。$g_2(x)$も同様に,$2(1-y)$になります。

小問3

少しだけ難易度が上がります。同時確率密度関数の定義を確認する問題です。$X$と$Y$が独立であれば$g_1(x)$と$g_2(x)$を掛け合わせればOKなのですが,今回は独立ではないため,定義に沿って計算していきましょう。アプローチとしては,前問までと同じで同時累積分布関数を求めてから微分を行うという方法を取りましょう。まず,定義より$Y\leq X$であるため,$y\leq x$となることが分かります。

続いて,$P(X\leq x, Y\leq y)$を求めれば良いのですが,ここでも余事象の考えを利用します。$x$以下の$U$と$V$(これがある種の全事象)を考えることで累積分布関数を求めますが,そのうち$U$と$V$の両方が$y$よりも大きくなってしまえば,累積分布関数は定義できません。ですので,以下のような余事象を考えることで同時累積分布関数を導出します。

\begin{align}
G(x, y) &= P(X\leq x, Y\leq y)\\[0.7em]
&= P(U \leq y, V \leq y) - P(x \leq U \leq y, x \leq V \leq y) \\[0.7em]
&= \int_{0}^y \int_{0}^y 1~dUdV - \int_{x}^y \int_{x}^y 1~dUdV\\[0.7em]
&= y^2 - (y-x)^2\\[0.7em]
&= y(2x - y)
\end{align}

したがって,$X$と$Y$の同時確率密度関数は以下のようになります。

\begin{align}
g(x,y) &= \frac{\partial^2 G(x,y)}{\partial x \partial y}\\[0.7em]
&= 2
\end{align}

小問4

これは計算問題ですね。定義に沿って計算していきましょう。

\begin{align}
E[X] &= \int_{-\infty}^{\infty} 2x \cdot x~dx
= \frac{2}{3}\\[0.7em]
E[Y] &= \int_{-\infty}^{\infty} 2(1-y) \cdot y~dy
= \frac{1}{3}\\[0.7em]
E[X^2] &= \int_{-\infty}^{\infty} 2x \cdot x^2~dx
= \frac{1}{2}\\[0.7em]
E[Y^2] &= \int_{-\infty}^{\infty} 2(1-y) \cdot y^2~dy
= \frac{1}{6}\\[0.7em]
E[XY] &= \int_{-\infty}^{\infty} \int_{-\infty}^{\infty} 2 \cdot xy~dxdy
= \frac{1}{4}
\end{align}

これらの値から,分散と共分散が計算できます。

\begin{align}
V[X] &= E[X^2] - E[X]^2
= \frac{1}{18}\\[0.7em]
V[Y] &= E[Y^2] - E[Y]^2
= \frac{1}{18}\\[0.7em]
C[X, Y] &= E[XY] - E[X]E[Y]
= \frac{1}{36}
\end{align}

したがって,相関係数は以下のようになります。

\begin{align}
\rho[X, Y] &= \frac{C[X,Y]}{\sqrt{V[X]}\sqrt{V[Y]}}\\[0.7em]
&= \frac{1}{2}
\end{align}

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