【徹底解説】LPIC-3 306合格へのロードマップ

目次

はじめに

本稿では,LPIC-3 306合格を最短最速で目指すための方法をお伝えします。

LPICについて

LPICはLinux Professional Institute Certificationの略称で,LPIと呼ばれる非営利団体が主催しているLinuxのグローバルスタンダードな認定試験です。Linuxはオープンソースであるという特性から特定のベンダーが恣意的な認定資格を作ってしまうフォースが働いてしまいますが,LPICはあくまでも中立的な立場を貫いているため,Linuxに関する公平公正な知識・技能を評価することができます。

Linuxの認定試験としてはLinuCも有名であり,LinuC公式ページではLPICとの関係性を「LinuCはクラウド時代の即戦力であることを証明できる認定資格として新しく生まれ変わりました」と説明しています。LPICの主催団体はLPI,LPICの主催団体はLPI日本支部という違いがあり,評価できる知識・技能には多少の差はあるものの大きな違いは現時点ではないため,グローバルスタンダードなLPICが今でも選ばれ続けている印象があります。

LPICについては下記の公式ページをご参照ください。

位置付け

LPIC認定資格には以下の種類があります。

  • Essentials
  • Linux Professional
  • Open Technology

LPICはこのうち「Linux Professional」に該当し,Linuxシステム管理者の知識と技能を評価するために設計されています。LPICにはさらに以下の種類があります。

  • LPIC-1 Exam 101
  • LPIC-1 Exam 102
  • LPIC-2 Exam 201
  • LPIC-2 Exam 202
  • LPIC-3 Exam 300
  • LPIC-3 Exam 303
  • LPIC-3 Exam 305
  • LPIC-3 Exam 306

LPICでは上位レベルの認定には下位レベルの認定が必須条件となっています。すなわち,LPIC-1の受験資格はなく,LPIC-2の受験にはLPIC-1の合格が必須で,LPIC-3の受験にはLPIC-2の合格が必須となっています。LPIC-1は101と102の両方に合格すると認定され,LPIC-2も同じく101と102の両方に合格すると認定されます。一方,LPIC-3はいずれか一つだけに合格することで該当資格の認定を受けることができます。

試験範囲

進化する技術に対応するため,LPICの試験科目は平均3年ごとに更新されます。したがって,現行バージョンで出題される試験範囲は必ずおさえておきましょう。公式Youtubeでも名言されていますが,試験範囲の「総重量」を足し合わせると60になりますので,「総重量」は各分野で出題される問題数そのものを表します。「総重量」の大きい分野から順に勉強するとよいでしょう。

科目・合格基準・時間・形式・料金

項目内容
時間90分
問題数60問
形式多肢選択式および穴埋め式
合格基準公表なし(推定65%)
料金公式サイトの「国別コスト」参照
形式CBT
有効期限再受験またはより高いレベルに合格しない限り5年間

対策

STEP
読み物で下地準備

資格対策書ではない一般書によりLinuxの概要を理解します

STEP
知識インプット

参考書・Youtube・Udemy・Webページから自分に合ったコンテンツを選びます

STEP
演習問題回し

本番形式の演習問題を回します

STEP
最終チェック

間違えた問題のポイントをまとめて直前に暗記します

読み物で下地準備

LPIC-3 306はLPIC-1とLPIC-2に合格していないと認定を受けられない資格ですから,Linuxについてある程度の下地が整っている状態で受験することになるでしょう。下地準備は必要に応じて実施する程度で十分です。仮に実施する場合は,LPIC-1合格へのロードマップLPIC-2合格へのロードマップでも紹介した下記の書籍がおすすめです。いわゆる試験対策を始める前に軽く一通り斜め読みしておくことで知識の定着度が非常に高まります。

知識定着の下地を整える書籍
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知識インプット

自分にあったインプットコンテンツとしては以下が挙げられます。

  • 参考書
  • Youtube
  • Udemy
  • Webページ

それぞれのコンテンツについて管理人のおすすめを紹介します。

参考書

LPICの対策本としては「あずき本」と「スピマス」が有名ですが,残念ながら現行バージョンの3.0に対応した書籍は発売されていません。そこで,LPIC-3 306が開始される前の旧バージョンであるLPIC-3 304の参考書籍をベースに該当分野の知識インプットを行いましょう。

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LPIC-3 304の試験範囲のうち現行のLPIC-3 306の試験範囲となるのは第2章の「高可用クラスタ管理」と第3章の「高可用クラスタストレージ」です。しかし,LPIC-3 304の書籍だけでは「HA分散ストレージ」と「単一ノードHA」まわりの知識が不足してしまいます。そこで,試験範囲で紹介されている「主な知識分野」と「用語とユーティリティ」を生成AIに投げて覚えていくスタイルをおすすめします。プロンプトは以下のコツに注意すると上手くいくことが多いです。

  • 一度に全ての試験範囲を投げずに節ごとに分ける
  • LPICの試験に沿う形の出力をするように制御する

具体的には下記の通りで,Perplexity AIがおすすめです。

LPIC対策のために、下記の分野の演習問題を作成してください。ただし、本番同様に問題は

- 四肢選択
- コマンド名を答えさせる
- ファイル名を答えさせる
- ディレクトリ名を答えさせる

のいずれかの形式とし、問題数は知識分野と用語とユーティリティをカバーできる程度としてください。
回答は問題のすぐ下に表示し、言語は日本語で出力してください。
---
主な知識分野:
- Cephの構造とコンポーネントの理解。
- OSD, MGR, MON, MDSの管理。
- placement groupとプールの管理と理解。
- ストレージバックエンド(FileStoreとBlueStore)の理解。
- Cephクラスタの初期化。
- Rados Block Devicesの作成と管理。
- CephFSボリューム(スナップショトを含む)の作成と管理。
- 既存のCephFSのマウントと利用。
- CRUSH mapの調整と理解
- CephのHAの観点での設定。
- Cephクラスタのスケールアップ。
- 停止時のCephクラスタのレストアと完全性の検証。
- Ceph updateの主要概念(update order, tunable、特徴を含む)の理解。

用語とユーティリティ:
- ceph-deploy (関連するサブコマンドを含む)
- ceph.conf
- ceph (関連するサブコマンドを含む)
- rados (関連するサブコマンドを含む)
- rdb (関連するサブコマンドを含む)
- cephfs (関連するサブコマンドを含む)
- ceph-volume (関連するサブコマンドを含む)
- ceph-authtool
- ceph-bluestore-tool
- crushtool

Youtube

下記の公式Youtubeが参考になります。試験範囲を網羅的に把握することができます。

Udemy

Udemyでは「LPIC向け対策講座」を受講するよりも,ポイントでLinuxで理解に苦しむポイントについて参考にするとよいでしょう。管理人はLPIC-1〜LPIC-2を通して以下の講座を利用しましたが,LPIC-3にはあまり効果はありませんでした。

Webページ

Linux学習のコツは「由来から覚えること」です。オプションをそのまま覚えようとしても全く頭に残らないため,可能な限り生成AIを用いて由来を理解するようにしましょう。時々全く由来のないオプションなども出てきますが,たいていの場合は由来とセットで覚えると理解が促進されるものがほとんどです。Web上のコンテンツとしては,LinuC向けではありますがLinuCイージスが利用できるでしょう。CCNAイージスと同様に古めかしいUIではありますが非常に良質なコンテンツです。

演習問題回し

LPIC-3 306の演習問題はどこを探しても手に入りません。検索エンジン上には怪しげな海外サイトやメルカリの日本語がバグっている詐欺コンテンツが出てきますが,これらは全く当てにならないと考えてよいでしょう。一次情報としては前述の試験範囲と公式Youtubeで全てですので,まずは大前提としてLPIC-3 304の対策本の内容を完璧に仕上げた上で,試験範囲と公式Youtubeに登場する概念やコマンドについて可能な限り調べていくことが唯一の試験対策方法となります。

オンライン学習サイトとして定番であるping-t学易という有料学習サイトではLPIC-3 306の現行バージョン3.0に対応した演習問題は販売されていませんが,LPIC-3 304は有料販売されています。範囲が重複する部分についてはぜひ活用しましょう。学易のLPIC-3 304の教材は現在販売が停止されていますが,運営に問い合わせたところお願いすれば販売してくれるようです。しかし,LPIC-3 304に限っては問題数とその解説は圧倒的にping-tの方が充実していますので,せっかく課金するのであればping-tをおすすめします。

最終チェック

管理人は以下のようなポイント集を作って直前に見直していました。

管理人は間違いだけでなく理解したいポイントも併せて言語化するようにしています。まとめる媒体としてはNotionでも紙のノートでも何でも構いません。

おわりに

LPICはグローバルスタンダードなLinux認定資格であることから,資格を取ることによりプレゼンスを上げることが目的である方がほとんどでしょう。しかし,Linuxはエンジニアとして理解が必須である共通言語であるともいえます。時代の流れが早いIT系の中でオープンソースのOSとして長い間確固たる地位を保持し続けてきたLinuxはOS界の王様ともいえ,レガシーシステムからクラウドシステムまで今でも幅広く利用されている技術です。安直な言葉を使えば,Linuxを学ぶことでエンジニアの素養を身に付けることができます。この素養は,例えばAWSでEC2やAuroraなどのマネージドサービスを扱う場合にも理解が必須である内容であるだけでなく,gitを使った日々の作業でも大活躍する知識になります。ぜひ資格取得という目的を超え,たまには寄り道をしながらLinuxの本質的な理解を目指して勉強してみてください。

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