はじめに
本稿では,ORACLE MASTER Gold DBA合格を最短最速で目指すための方法をお伝えします。
ORACLE MASTER Gold DBAについて
ORACLE MASTER Gold DBAは,Oracleが公式に開催しているOracle Databaseの認定資格です。日本だけでなく海外でも同一の内容の認定試験が開催されており,Silver DBAで身につけられるデータベース運用タスクやSQLの知識に加え,「RMANによるバックアップ・リカバリや複製,マルチテナント環境の構成・管理全般,インストール,パッチ適用といった技術要素を理解するデータベース管理者として,状況に応じた手法の提案や助言を行うスキル」をグローバルに評価できる資格の1つです。
受験資格・対応バージョン
Oracle Database認定試験はBronze・Silver・Gold・Platinumの4種類が実施されており,Goldの受験にはSilverの合格,Platinumの受験にはGoldの合格が必須条件となっています。Platinumでは1〜2日間の実技試験が実施されることや受験費用自体がBronze・Silver・Goldと比べて高額であることから,特にSilverとGoldは実務上Oracle Databaseを専門としている方が目指される資格になっています。Silverの受験資格にBronzeが必須でないことから,Bronzeは飛ばしてSilverの受験から始める方が多い印象です。
上記の資格体系は2020年1月に移行された新体系であり,それ以前はSilverの受験にBronzeが必要であったりOracleのバージョンに資格が依存していたりしたため,改定で多くの開発者に向けて門戸が広がったといえるでしょう。
Oracle DatabaseのうちSilverだけはDBA 2019とSilver SQL 2019という2つの試験に分かれています。片方の資格がもう片方の資格の合格条件になっている訳ではなく,それぞれ独立した試験として実施されています。しかし,Oracle公式ページにおいて
- Silver DBA資格を取得するにはSQLは勉強しなくてよいということですか?
-
いいえ,データベース管理者でも基本的なSQLのスキルは必要です。Silver DBAの試験(1Z0-082-JPN:Oracle Database Administration I)の試験範囲にはDBの運用管理で必要になる基本的なSQLが含まれています。
というFAQが記載されている通り,Silver SQL 2019をの内容がDBA 2019に包含されているものと捉えるのがよいでしょう。この回答からも分かりますが,
- Silver DBA:Oracle Database Administration I
- Gold DBA:Oracle Database Administration II
という正式名称が付けられています。
OracleにおいてDBAやSQLと同じくらい人気な認定資格にJava SilverやJava Goldがあります。これらの認定資格はDBAやSQLと異なり,Javaのバージョンと認定資格が対応しています。
形式・合格ライン・試験時間
複数の選択肢から正答を選ぶ形式で,合格ラインは57%となっています。試験時間は120分です。Silver SQLやSilver DBAの合格ラインは60%であるため,Goldの合格ラインは比較的低くなっていることが分かります。
全68問の出題となりますので,57%に相当する38〜39問が合格ラインになるものと考えられます。しかし,管理人が受験した当時は試験前の注意事項で「将来の出題に備えた統計データ取得のために採点されない問題も含められている」という旨が記載されていた記憶があり,問題数は78問でした。このようなダミー問題の出題は継続性のため今後も実施されるものと考えられます。受験者からすると,目の前の問題がダミー問題であるかどうかは全く分かりませんので,全力で78問を解くしかありません。
料金
円高・円安の市況によって変わります。なぜか公式HPには価格の明示的な記載はなく,ピアソンVUE経由で申し込みを進めていくと,最後の画面で価格を知ることができます。
楽天市場経由でOracleピアソンVUE配信監督付き試験用受験チケットを買うことで,定価よりも安い価格で受験資格を得ることができます。詐欺みたいですが本当の話です。楽天市場ということでポイントも付きますので,結果として数千円の節約となります。Web上で調べれば先人たちの解説記事がヒットしますので,ここでは詳細は割愛します。
Oracle MASTER試験の関係性
筆者の考えるOracle MASTER試験の関係性を上図に示します。まず,試験範囲としては明らかにGold DBAが段違いに広いです。次いでSilver DBAが広く,Silver SQLとBronze DBAはやや狭めな印象を受けました。試験の内容については,DBAファミリーとSilver SQLはやや毛色が異なります。DBAファミリーはデータベースの運用タスクがメインである一方で,Silver SQLでは純粋なSQLやコンピュータアーキテクチャまわりの知識を問う問題が出題されます。
Bronze DBAの試験範囲にはデータベースアーキテクチャやネットワーク,ユーザや権限などが含まれますが,これらのトピックはSilver DBAおよびGold DBAでも一貫して問われます。Bronze DBAの内容はSilver DBAおよびGold DBAに綺麗に内包されている印象を受けました。
一方,Silbver DBAの内容はGold DBAに内包されているかと言われるとそうではなく,Silver SQLの内容の大部分がGold DBAの範囲外となっています。Gold DBAでは込み入ったSQLの知識が問われることはありません。問題文でも長いSQL文が問われることはなく,データベース運用者として把握しておくべきOracleデータベースの仕様や運用の流れなどが問われます。
Oracleを運用する開発者でない場合は,Silver SQLの取得だけを目指すという方針もアリかと思います。一方,2020年の改訂によりOracle MASTERではOracle固有の知識に加え,より汎用的なデータベースの知識を問うようになっています。SQLの知識だけでなくデータベースの運用に関する知識もつけたい方は,Gold DBAの取得まで目指すとよいでしょう。
以上のことから,Oracle MASTERの試験は以下のような流れで対策をすればよいでしょう。
- Bronze DBAの参考書を眺めてみて…
- 絶望的に何も分からなければBronzeから着手
- 何となく言っていることが分かればSilverから着手
- SQLとデータベースにデータが格納される仕組み「だけ」を理解したい場合は…
- Silver SQLの取得だけを目指せばOK
- データベースの運用を含めた広範な知識の習得を目指したい場合は…
- Silver SQLの取得は任意だが推奨(Silver DBAの試験で大活躍する)
- Silver DBA→Gold DBAの順に取得(Goldの受験資格にSilverは必須)
対策
Gold DBAの対策はシンプルです。
黒本を二周した後,
管理人の考えるGold DBA合格への最短最速ロードマップ
三周目に間違えた問題の要点をまとめて
直前までひたすら復習を繰り返すだけ
この方法で最短5日間,長くても2ヶ月程度で合格可能でしょう。筆者は5日間で取得できました。なお,黒本とは次の書籍のことを指します。
黒本をこなすことで,必要最低限の知識を最短効率で身につけることができます。Gold DBA対策としては本書籍以外にほぼ選択肢がなく,鉄板の黒本を用いる方針が無難です。黒本三周目は間違いポイントをまとめますが,例えば下記のページのようにまとめるとよいでしょう。
管理人は間違いだけでなく理解したいポイントも併せて言語化するようにしています。まとめる媒体としてはNotionでも紙のノートでも何でも構いません。
おわりに
Gold DBAは,新人の開発者がデータベースの運用やSQLを学ぶマイルストーンとして重宝します。「Oracleの試験でしょう?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが,2020年の試験体系の改定により本試験ではより汎用的なの知識が問われるようになりました。これだけクラウドが成熟してきた今でも,Databaseを学ぶ必要性は強く叫ばれています。エンジニアとして生きていく可能性がある方であれば,まずはOracleの認定資格をマイルストーンとして学習を始めるのも悪くないのではないでしょうか。
コメント