【徹底解説】基底変換行列の基底の取り換え

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

基底変換行列の基底の取り換え

$V,W$をそれぞれ$n$次元,$m$次元ベクトル空間,$F:V\rightarrow W$を線型写像とする。$\alpha,\alpha^{\prime}$を$V$の二つの基底,$\beta,\beta^{\prime}$を$W$の二つの基底とし,

\begin{align}
[F]_{\beta}^{\alpha}=A,\quad [F]_{\beta^{\prime}}^{\alpha^{\prime}}=A^{\prime}
\end{align}

とする。このとき,

\begin{align}
A^{\prime} &= QAP\label{主題}
\end{align}

が成り立つ。ただし,$P,Q$はそれぞれ$V,W$における基底変換行列

\begin{align}
P=\mT_{\alpha\rightarrow\alpha^{\prime}},\quad Q=\mT_{\beta\rightarrow\beta^{\prime}}
\end{align}

とする。

基底変換行列の定義より自然に導かれる定理です。

証明

表現行列の定義により,

\begin{align}
L_{A} = \varphi_{\beta}^{-1}\circ F\circ\varphi_{\alpha},\quad L_{A^{\prime}} = \varphi_{\beta^{\prime}}^{-1}\circ F\circ\varphi_{\alpha^{\prime}}
\end{align}

であり,基底変換行列の定義により

\begin{align}
L_{P} = \varphi_{\alpha}^{-1}\circ \varphi_{\alpha^{\prime}},\quad L_{Q} = \varphi_{\beta^{\prime}}^{-1}\circ \varphi_{\beta}
\end{align}

となります。したがって,

\begin{align}
L_{Q}\circ L_{A}\circ L_{P} &= (\varphi_{\beta^{\prime}}^{-1}\circ \varphi_{\beta})\circ(\varphi_{\beta}^{-1}\circ F\circ\varphi_{\alpha})\circ(\varphi_{\alpha}^{-1}\circ \varphi_{\alpha^{\prime}})\\[0.7em]
&= \varphi_{\beta^{\prime}}^{-1}\circ F\circ\varphi_{\alpha^{\prime}}\\[0.7em]
&= L_{A^{\prime}}
\end{align}

が成り立ちます。すなわち,式($\ref{主題}$)が成り立ちます。

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