【徹底解説】ライプニッツの公式

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

ライプニッツの公式

関数$f,g$は$n$階微分可能で$f^{(0)}=f$,$g^{(0)}=g$とする。このとき,次が成り立つ。

\begin{align}
(fg)^{(n)} &= \sum_{k=0}^{n} {}_{n}C_{k}f^{(k)}g^{(n-k)}\label{主題}
\end{align}

本質的に二項定理と通じる公式です。

証明

数学的帰納法を利用します。$n=1$のとき,

\begin{align}
(fg)^{(1)} &= f^{(1)}g^{(0)}+f^{(0)}g^{(1)} = \sum_{k=0}^{1} {}_{1}C_{k}f^{(k)}g^{(1-k)}
\end{align}

より,式($\ref{主題}$)は成り立ちます。$n=l$のとき,式($\ref{主題}$)が成り立つと仮定します。すなわち,

\begin{align}
(fg)^{(l)} &= \sum_{k=0}^{l} {}_{l}C_{k}f^{(k)}g^{(l-k)}
\end{align}

が成り立つと仮定します。両辺を微分すると,

\begin{align}
(fg)^{(l+1)} &= \sum_{k=0}^{l} {}_{l}C_{k}\left(f^{(k+1)}g^{(l-k)}+f^{(k)}g^{(l-k+1)}\right)\\[0.7em]
&= \sum_{k=0}^{l} {}_{l}C_{k}f^{(k+1)}g^{(l-k)}+\sum_{k=0}^{l} {}_{l}C_{k}f^{(k)}g^{(l-k+1)}\\[0.7em]
&= \sum_{k=1}^{l+1} {}_{l}C_{k-1}f^{(k)}g^{(l-k+1)}+\sum_{k=0}^{l} {}_{l}C_{k}f^{(k)}g^{(l-k+1)}\\[0.7em]
&= f^{(0)}g^{(l+1)}+\sum_{k=1}^{l}\left({}_{l}C_{k-1}+{}_{l}C_{k}\right)f^{(k)}g^{(l-k+1)}+f^{(l+1)}g^{(0)}\\[0.7em]
&= f^{(0)}g^{(l+1)}+\sum_{k=1}^{l}{}_{l+1}C_{k}f^{(k)}g^{(l-k+1)}+f^{(l+1)}g^{(0)}\\[0.7em]
&= \sum_{k=0}^{l+1}{}_{l+1}C_{k}f^{(k)}g^{(l-k+1)}
\end{align}

が得られます。したがって,$n=l+1$のときも式($\ref{主題}$)が成り立つことが示されました。ただし,二項係数に関する以下の関係を利用しました。

\begin{align}
{}_{l}C_{k-1}+{}_{l}C_{k}&= \frac{l!}{(k-1)!(l-k+1)!}+\frac{l!}{k!(l-k)!}\\[0.7em]
&= \frac{l!}{(k-1)!(l-k)!}\left(\frac{1}{l-k+1}+\frac{1}{k}\right)\\[0.7em]
&= \frac{l!}{(k-1)!(l-k)!}\frac{l+1}{k(l-k+1)}\\[0.7em]
&= \frac{(l+1)!}{k!(l+1-k)!}\\[0.7em]
&= {}_{l+1}C_{k}
\end{align}

以上より,任意の自然数$n$に対して式($\ref{主題}$)が成り立ちます。

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