【徹底解説】上限/下限の必要十分条件

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

上限/下限の必要十分条件

$m\in\mR$が集合$A\in\mR$の上限となるための必要十分条件はつぎの二つである。

  1. 任意の$a\in A$に対し,$a\leq m$
  2. 任意の$x<m$に対し,$x<a$となる$a\in A$が存在する

2.は以下のように書き換えられる。

  1. 任意の$\varepsilon>0$に対し,$m-\varepsilon < x \leq m$となる$x\in A$が存在する

同様に,$l\in\mR$が$A$の下限となるための必要十分条件はつぎの二つである。

  1. 任意の$b\in A$に対し,$b\geq l$
  2. 任意の$x>l$に対し,$x>b$となる$b\in A$が存在する

4.は以下のように書き換えられる。

  1. 任意の$\varepsilon>0$に対し,$l\leq x < l+\varepsilon$となる$x\in A$が存在する

上限は上界の集合の最小元として定義されましたから,上界である条件と最小元である条件を合わせれば必要十分条件になります。同様に,下限は下界の集合の最大元として定義されましたから,下界である条件と最大元である条件を合わせれば必要十分条件になります。

証明

1.は$m$が$A$の上界である条件を表し,2.は$x<m$となる$x$が上界ではない条件を表します。2.の言い換えは,$m$が数直線上で属する区間の左端となることを意味しています。したがって,1.かつ2.は$m$が上界の最小元であること,すなわち上限である必要十分条件を表します。同様に,3.は$l$が$A$の下界である条件を表し,4.は$x>l$となる$x$が下界ではない条件を表します。4.の言い換えは,$l$が数直線上で属する区間の右端となることを意味しています。したがって,3.かつ4.は$l$が下界の最大元であること,すなわち下限である必要十分条件を表します。

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