本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
双一次形式と共役双一次形式
$\mK$は実数空間$\mR$または複素数空間$\mC$を表す。$V$ を$\mK$上のベクトル空間とし,$f$を$V\times V$から$\mK$への写像,すなわち$V$の任意の元のペア$(u,v)$に対して一つのスカラー$f(u,v)\in\mK$を対応させる写像とする。$f$が以下を満たすとき,
- $f(u+u^{\prime}, v)=f(u,v)+f(u^{\prime},v)$
- $f(cu,v)=cf(u,v)$
- $f(u, v+v^{\prime})=f(u,v)+f(u,v^{\prime})$
- $f(u,cv)=cf(u,v)$
$f$を双一次形式という。同様に,$g$が以下を満たすとき,
- $g(u+u^{\prime}, v)=g(u,v)+g(u^{\prime},v)$
- $g(cu,v)=\oc g(u,v)$
- $g(u, v+v^{\prime})=g(u,v)+g(u,v^{\prime})$
- $g(u,cv)=c g(u,v)$
$g$を共役双一次形式という。ただし,$\oc$は$c$の共役複素数を表す。
双一次形式は,$f$が二つの変数の双方について線型であることに由来しています。一方で,共役双一次形式は,$g$が第一変数については共役線型であり,第二変数については線型であることに注意して下さい。$\mK=\mR$のときは,双一次形式と共役双一次形式は等価になります。
コメント