【徹底解説】広義の固有空間の定義

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

広義の固有空間

$V$を$\mK$上の$n$次元内積空間とする。ただし,$\mK$は複素数空間$\mC$または実数空間$\mR$を表す。$F$を$V$の線型変換とし,$\alpha$を$F$の固有値の一つとする。固有値$\alpha$に対する広義の固有ベクトル全体に$0$をつけ加えたものは,$V$の一つの部分空間を作る。これを$\alpha$に対する広義の固有空間とよび,$\tilde{W}(\alpha)$と表す。

広義の固有空間は分解定理の証明に利用される概念です。

補足

以下では,広義固有空間が$V$の部分空間となることを示します。$w_{1},w_{2}\in \tilde{W}(\alpha)$に対し,広義固有空間$\tilde{W}(\alpha)$の定義より,正の整数$l_{1},l_{2}$に対し

\begin{align}
(F-\alpha I)^{l_{1}}(w_{1}) &= 0 \\[0.7em]
(F-\alpha I)^{l_{2}}(w_{2}) &= 0
\end{align}

が成り立ちます。したがって,$s=\max(l_{1},l_{2})$,$t=\max(l_{1},l_{2})$とすると,

\begin{align}
(F-\alpha I)^{l}(w_{1}+w_{2}) &= (F-\alpha I)^{s-t}(w_{1}+w_{2})\cdot (F-\alpha I)^{t}(w_{1}+w_{2})\\[0.7em]
&=(F-\alpha I)^{s-t}(w_{1}+w_{2})\cdot \left\{(F-\alpha I)^{t}(w_{1})+(F-\alpha I)^{t}(w_{2})\right\}\\[0.7em]
&= 0
\end{align}

が成り立ちます。すなわち,広義固有空間$\tilde{W}(\alpha)$は加法に閉じていることが分かりました。同様に,ある実数$c$に対し,$F-\alpha I$が線型変換であることに注意すると,

\begin{align}
(F-\alpha I)^{l_{1}}(cw_{1}) &= c^{l_{1}}(F-\alpha I)^{l_{1}}(w_{1})\\[0.7em]
&=0\label{スカラー倍}
\end{align}

が成り立ちます。すなわち,広義固有空間$\tilde{W}(\alpha)$はスカラー倍に閉じていることが分かりました。特に,式($\ref{スカラー倍}$)で$c=0$とおくと,$0$も広義固有空間$\tilde{W}(\alpha)$の元に含まれることが分かりました。以上より,広義固有空間$\tilde{W}(\alpha)$が$V$の部分空間であることが示されました。

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