本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
正規直交基底の係数抽出
$V$を$n$次元内積空間とする。$\beta=\{v_{1},\ldots,v_{n}\}$を$V$の正規直交基底とし,$V$の元$v$に対して
\begin{alignat}{2}
[v]_{\beta} &= \vx &&= [x_{1},\ldots,x_{n}]^{T}
\end{alignat}
[v]_{\beta} &= \vx &&= [x_{1},\ldots,x_{n}]^{T}
\end{alignat}
とすると,$1\leq i\leq n$を満たす$i$に対して
\begin{alignat}{2}
x_{i} &= \overline{(v\mid v_{i})} &&= (v_{i}\mid v) \label{主題}
\end{alignat}
x_{i} &= \overline{(v\mid v_{i})} &&= (v_{i}\mid v) \label{主題}
\end{alignat}
となる。
ある正規直交基底で表される座標を抽出する定理といえます。
証明
座標ベクトルの定義より,
\begin{align}
v &= \sum_{k=1}^{n}x_{k}v_{k}
\end{align}
v &= \sum_{k=1}^{n}x_{k}v_{k}
\end{align}
となります。これと$\{v_{1},\ldots,v_{n}\}$が正規直交基底であることに注意すると,
\begin{alignat}{3}
(v_{i}\mid v) &= \left(v_{i}~\middle|~\sum_{k=1}^{n}x_{k}v_{k}\right) &&= \sum_{k=1}^{n}x_{k}(v_{i}\mid v_{k}) &&= x_{i}
\end{alignat}
(v_{i}\mid v) &= \left(v_{i}~\middle|~\sum_{k=1}^{n}x_{k}v_{k}\right) &&= \sum_{k=1}^{n}x_{k}(v_{i}\mid v_{k}) &&= x_{i}
\end{alignat}
となります。すなわち,式($\ref{主題}$)が示されました。
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