【読書記録】13歳からの「傾聴力」向上バイブル

目次

はじめに

私が読書を始めたキッカケや他に読んだ書籍については,以下のページにまとめています。

基本情報

タイトル13歳からの「傾聴力」向上バイブル
著者岩松 正史
出版社メイツ出版
発売日2024年06月18日
ページ数128ページ

概要と感想

本書は子供向けに「傾聴とは何か」「傾聴できると何が嬉しいのか」を解説する書籍だが,侮ってはいけない。大人も十分学びがいのある内容となっている。流行りもあるのか傾聴関連の書籍は大量に出版されているが,私個人的には当初の著者である岩松 正史氏の書籍には全幅の信頼を寄せており,『心理学に学ぶ鏡の傾聴』は私自身のバイブルにもなっている書籍の1つである。

傾聴とは「相手を尊重し共感し関心を持って聴くこと」であり,傾聴ができることにより周囲の人間を幸せにすることができる。傾聴はアメリカの心理学者であるカール・ロジャーズによって提唱された概念であり,無条件の肯定的関心(需要)・共感的理解(共感)・自己一致(一致)の三要素により構成されているとするものだ。

受容を行うためには,評価や否定などを行わず,一切の条件なしで相手の存在を認めることから始める。共感を行うためには,自分の考えは別として,相手の考えを極力尊重することから始める。なお,共感は主語が「あなた」であるのに対し,同感は主語が「私」になる点に注意する必要がある。共感は決して同感ではない。一致するためには,自分自身と向き合う必要があり,心の中にある本音と自分の態度が自然と一致する状態を目指すことから始める。

相手を無条件に肯定できるかどうかは,あなたがあなた自身をどれだけOKと思えるかにかかってきているという。自分を承認できないと他人も承認できないというカラクリだ。自分を認められないと,その気持ちを埋め合わせるために相手の意見に反論できなくなったり,自己主張ができなくなったりするのだ。

特に自己一致については,著者の別書籍『心理学に学ぶ鏡の傾聴』が詳しいため,参照されたい。


情報収集を行う「聞く」に対し,「聴く」では相手の気持ちに焦点を当てる。これは自分自身にも非常に刺さる話である。周囲の人間や仕事上のメンバーに対し,昔の印象的な出来事や最近の出来事について事実ベースで会話をするだけで「自分は傾聴できている」と勘違いしていたのである。本来,事実を聞いたうえで話し手の気持ちを引き出して寄り添うことができなければ「聴いている」ことにならないのだ。事実だけを根掘り葉掘り聞くというのは,とても傾聴とはいえないだろう。

傾聴を行う上で,否定は攻撃となることを十分に理解する必要がある。相手を否定しないことは傾聴では基本中の基本であり,否定された人は「どうせまた否定される」と感じ,どんどん殻に閉じこもってしまう。上でも述べた通り,傾聴で行うべきは同感ではなく共感であるため,主語は「私」ではなく「あなた」となる。「私」がどう思うかはどうでもよく,「あなた」がどう感じているかを自分の気持ちとは切り離して考えることが大切だ。

これも耳が痛い話ではあるが,話し手が傾聴で求めているのは,アドバイスではなく気持ちに寄り添うことである。私自身,つい最近まで「気持ちに寄り添うだけだと根本的な問題が解決していない。痛み止めの処方箋でしかないのでは」という考えを持っていたが,事実と気持ちを聴く前に自分の経験に基づいたアドバイスを伝えても,まず話し手がそのアドバイスを受け入れられる余裕がない場合もあれば,そもそも的外れなアドバイスである場合もある。

心のバケツに水が満杯に入っていれば,聞き手からの話を聞く余裕もなくなってしまう。まずは話を「聴く」ことで嫌な感情を吐き出してもらい,バケツに隙間を空け,さらに話し手からアドバイスを求められたタイミングでのみ,アドバイスするくらいの温度感がちょうどいいのかもしれない。

「相手の立場になって考える」のも重要な観点である。相手の立場になるというのは,「私だったらこうする」ではなく「XXさんだったらこうするだろう」と考えることを指す。どうしても相手に賛同できない場合は,自分の意見も相手の意見も曲げずに「そうなんだ」くらいに収められる心の広さを持ちたいものである。

私自身,よく「自分だったらこうするな」と偉そうに表明することが多く,ひたすら反省を繰り返している。これは本質的に,聞き手の自己顕示欲でしかないだろう。私にとってたまたま最適なやり方だっただけで,目の前の話し手にマッチするやり方かどうかは分からない。とにかく,傾聴の主語は「あなた」であることを忘れてはならない。

参考文献

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