【読書記録】なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか

目次

はじめに

管理人は社会人としてハード的なスキルを身につける自己研鑽はある程度完了したため,ソフト的なスタンスや思想哲学の裾野を広げたいと考えて「名著100本ノック」を開始しました。本書籍もその一環で読んだものになります。読書記録は下記のページでまとめています。

基本情報

タイトルなぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか
著者田坂広志
出版社PHP研究所
発売日2022年02月15日
ページ数224ページ

概要と感想

国内外から7000名を超える経営者やリーダーが集う「田坂塾」の創設者である田坂広志による書籍である。冒頭から一貫して「マネジメントとは大変なものだ」というスタンスで,マネジメントを「重荷」であると述べている。タイトルの「なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか」という問いは,評価や出世のためだけに安易にマネジメント層を志向する人々への警鐘として響く。

本書を通して強く感じたのは,マネジメントを「技法」ではなく「生き方」として捉える田坂の姿勢である。マネジメントのhow-to本ではなく,少し抽象的で感情に訴えかけるような文章で構成されているが,それは決して精神論ではない。むしろ,誰よりも謙虚で真摯にマネジメントと向き合ってきた田坂の哲学が,透徹した言葉として表現されている。その意味で本書は,単なるビジネス書ではなく,マネジメントという営みを通じて「人間とは何か」を問う思想書であるように感じた。

田坂自身は,自らマネジメントという重荷を引き受ける理由を「自分が成長できるから」と語る。その率直さに共感するとともに,筆者もまた,結局は自分自身の成長のためにマネジメントを志向していることに気付かされた。田坂はさらに,この「成長」を「人間としての成長」と位置づける。

本書で田坂は,「人間としての成長」を「相手の心」が見えるようになること,「集団の心」が見えるようになること,そして「自分の心」が見えるようになること,と定義している。3つ目が「自分の心」である点が特に印象的である。田坂は,人間は往々にして謙虚になれない存在であることを例に挙げ,自分に自信がないと人を誉められず,謙虚になれないと説く。そして,自分の心の中の劣等感を抑圧せず,受け入れることの大切さを示している。この言葉は,筆者自身の内面にも深く響いた。

本書はこの後,「人間観」「邂逅」「荒砥石」といったテーマを通して,人間の成長と関係性の本質へと踏み込んでいく。そして最後に再び「成長」に話が戻り,「部下の成長を支えるためには,自分自身が常に成長し続けなければならない」と結論づける。上司の成長が部下の成長の限界を決めてしまうことに触れ,リーダーとは「組織を率いる人間」ではなく「山を登り続ける人間」であると語る。この表現が本書のメッセージを象徴していると言えよう。

筆者自身,これまで成長を知識やスキルの習得といった形式的なものに求めがちだったが,本書を通して,真の意味での成長とは人間的な成熟であり,他者との関わりの中で磨かれていくものだと痛感した。このタイミングで本書に出会えたことは幸運である。

参考文献

PHP研究所
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