【徹底解説】条件付き確率の性質

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目次

条件付き確率の性質

$P(A)>0$であるとき,条件付き確率$P(\cdot|A)$について以下が成り立つ。

  • $P(\cdot|A)$は確率の定義を満たす
  • $P(B|A)=P(B)$ならば$A$と$B$は独立であり,また逆も成り立つ

条件付き確率がしっかりと確率の定義を満たし,独立の定義が少し違った角度から捉えられますよという定理です。2つ目に関しては,条件付き確率における独立の概念として,しっかりと押さえておきたい性質です。

証明

2つの命題それぞれについて証明していきます。

1. の証明

まず,

\begin{align}
P(\phi|A) &= \frac{P(\phi \cap A)}{P(A)} \\[0.7em]
&= \frac{P(\phi)}{P(A)} \\[0.7em]
&= \frac{0}{P(A)} \\[0.7em]
&= 0
\end{align}

より,確率の定義の第一項目を満たします。次に,

\begin{align}
P(\Omega|A) &= \frac{P(\Omega \cap A)}{P(A)} \\[0.7em]
&= \frac{P(A)}{P(A)} \\[0.7em]
&= 1
\end{align}

より,確率の定義の第二項目を満たします。最後に,排反な事象$B$と$C$に対して,

\begin{align}
P(B \cup C|A) &= P(B|A) + P(C|A) \label{eq:3}
\end{align}

が成り立つことを示すことができれば,数学的帰納法を用いて複数の事象に拡張することで,条件付き確率が確率の定義第三項目を満たすことを示すことができます。早速,式($\ref{eq:3}$)を示していきましょう。

\begin{align}
P(B \cup C|A) &= \frac{P\left\{A \cap (B \cup C)\right\}}{P(A)} \\[0.7em]
&= \frac{P{(A \cap B) + (A \cap C)}}{P(A)} \\[0.7em]
&= \frac{P(A \cap B)}{P(A)} + \frac{P(A \cap C)}{P(A)} \\[0.7em]
&= P(B|A) + P(C|A)
\end{align}

数学的帰納法の記述は非常にシンプルなため省略しますが, 条件付き確率が確率の定義第三項目を満たすことを示せました。 以上より,条件付き確率は確率の定義を満たします。

2. の証明

与えられた条件

\begin{align}
P(B|A) &= \frac{P(A \cap B)}{P(A)} \\[0.7em]
&= P(B)
\end{align}

が成り立つとき,両辺に$P(A)$をかけると

\begin{align}
P(A \cap B) &= P(A)P(B)
\end{align}

となるため,AとBは独立です。逆に,AとBが独立であるとき

\begin{align}
P(A \cap B) &= P(A)P(B)
\end{align}

となるため,両辺を$P(A)$で割ることにより

\begin{align}
\frac{P(A \cap B)}{P(A)} &= P(B)
\end{align}

が成り立ちます。

参考文献

本稿の執筆にあたり参考にした文献は,以下でリストアップしております。

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