【徹底解説】可換な合成写像に共通な固有ベクトル

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

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可換な合成写像に共通な固有ベクトル

F,Gn次元複素内積空間Vの線型変換とし,dimV1とする。もし,FG=GFならば,Vの中にF,Gに共通した固有ベクトルが存在する。

テプリッツの定理の証明に利用される定理です。

証明

複素ベクトル空間では任意の線型変換は固有値をもつので,Fの一つの固有値をαとし,それに対するFの固有空間をWとします。FG=GFであるとき,vWに対して

(1)F(G(v))=G(F(v))=G(αv)=αG(v)

が成り立ちます。WFの固有空間であることに注意すると,G(v)Wとなることが分かります。すなわち,vWに対してG(v)Wが成り立つので,WGに関して不変です。ゆえに,GWへの縮小が考えられ,かつ固有空間の定義よりW{0}ではありませんので,Wの中に固有ベクトルw0が存在します。Fの固有空間がWであることから,Wの固有ベクトルはFにも属します。したがって,FG=GFならば,Vの中にF,Gに共通した固有ベクトルw0が存在することが示されました。

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