【徹底解説】対称群と置換群の定義

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

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対称群と置換群

$n$文字の置換全体からなる集合$S_{n}$は群をなし,その群を対称群もしくは置換群という。

対称群の部分群を置換群と定義する場合もあります。

証明

以下では,$S_{n}$が群となることを示します。置換の定義より$\sigma,\tau\in S_{n}$は全単射であり,全単射の合成写像は全単射になることから,$\sigma\circ \tau$は全単射になります。したがって,$\sigma\circ \tau\in S_{n}$になります。すなわち,$S_{n}$は合成写像に関して閉じています。次に,$\sigma,\tau,\rho\in S_{n}$に対し,合成写像の定義より

\begin{alignat}{2}
(\sigma \circ (\tau \circ \rho))(x) &= \sigma((\tau\circ \rho)(x)) &&= \sigma(\tau(\rho(x))) \\[0.7em]
((\sigma \circ \tau)\circ \rho))(x) &= (\sigma\circ \tau)(\rho(x)) &&= \sigma(\tau(\rho(x)))
\end{alignat}

が成り立ちます。すなわち,結合法則が成り立ちます。次に,$S_{n}$の元には恒等置換$\varepsilon$が存在しますので,単位元が存在します。次に,置換の定義より,$S_{n}$の任意の元$\sigma$は全単射であるから,逆置換$\sigma^{-1}$が存在します。逆写像の定義より逆写像は全単射となることから,$\sigma^{-1}$は全単射となり,$S_{n}$の元となります。すなわち,$S_{n}$の任意の元には逆元が存在します。以上より,$S_{n}$が群をなすことを示せました。

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