本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
座標ベクトルの内積
$\beta=\{v_{1},\ldots,v_{n}\}$を内積空間$V$の正規直交基底とする。$V$の元$v,w$の正規直交基底$\beta$に対する座標ベクトルを
\begin{align}
[v]_{\beta} = \vx,\quad [w]_{\beta} = \vy
\end{align}
[v]_{\beta} = \vx,\quad [w]_{\beta} = \vy
\end{align}
とすれば,標準内積$(v\mid w)$は座標ベクトルを用いて
\begin{align}
(v\mid w) &= (\vx\mid \vy)
\end{align}
(v\mid w) &= (\vx\mid \vy)
\end{align}
と表される。
座標ベクトルを導入しても標準内積が同じ形で表されることを意味しています。
証明
座標ベクトルの定義より,
\begin{align}
v &= \sum_{i=1}^{n}x_{i}v_{i} \\[0.7em]
w &= \sum_{i=1}^{n}y_{i}v_{i}
\end{align}
v &= \sum_{i=1}^{n}x_{i}v_{i} \\[0.7em]
w &= \sum_{i=1}^{n}y_{i}v_{i}
\end{align}
と表されます。これらを標準内積の定義に代入することにより,
\begin{align}
(v\mid w) &= \sum_{i=1}^{n}\overline{(x_{i}v_{i})}(y_{i}v_{i}) \\[0.7em]
&= \sum_{i=1}^{n}\ox_{i}y_i (\ov_{i}v_{i}) \\[0.7em]
&= \sum_{i=1}^{n}\ox_{i}y_i \|v_{i}\|^{2} \\[0.7em]
&= \sum_{i=1}^{n}\ox_{i}y_i \\[0.7em]
&= (\vx\mid \vy)
\end{align}
(v\mid w) &= \sum_{i=1}^{n}\overline{(x_{i}v_{i})}(y_{i}v_{i}) \\[0.7em]
&= \sum_{i=1}^{n}\ox_{i}y_i (\ov_{i}v_{i}) \\[0.7em]
&= \sum_{i=1}^{n}\ox_{i}y_i \|v_{i}\|^{2} \\[0.7em]
&= \sum_{i=1}^{n}\ox_{i}y_i \\[0.7em]
&= (\vx\mid \vy)
\end{align}
が示されます。ただし,$\beta$が正規直交基底であることから$v_{i}$のノルムが$1$であることを利用しました。
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