本稿では,法律および不動産については門外漢である管理人が,宅地建物取引士資格試験に最速最短で合格するための知識を整理してまとめていきます。巷に溢れる語呂合わせについても,本当に必要と考えられる内容に絞ってまとめていきます。
管理人は法学の素人であるため,ロジックの正確性・正当性は無視します。また,「以上・以下」「未満・より」といったような端点の場合分けは無視します。仮にこの端点を狙った出題がなされた場合は,出題者は正気ではないと管理人は考えています。重箱の隅をつつくような出題により受験者の何を図ろうとしているのか不明だからです。端点は無視して覚えてしまうことを推奨します。
住宅金融支援機構
住宅金融支援機構の役割を一言で説明せよ
銀行のキャッシュフローを潤すために銀行に債権を瞬時に発行し,投資家から長い期間かけて元利合計を回収する証券を発行することで,そのマージンにより儲けを得る公的寄りな機構。
- 銀行:金利分全てを儲けられるわけではないが,瞬時にキャッシュが潤うため嬉しい
- 住宅金融支援機構:銀行の儲け分と投資家の儲け分のマージンから儲けを得られるため嬉しい
- 投資家:国債など他の証券と比べて儲けが得られると判断できた場合は嬉しい
住宅金融支援機構の取引対象を覚えるためのキーワードは何か
「付随する」がキーワード。土地や借地権だけではダメだが,住宅の建設や購入に付随する土地や借地権はOK。リフォームだけではダメだが,中古住宅の購入に付随するリフォームはOK。
住宅金融支援機構の資金調達は誰の何が必要か
国土交通大臣と財務大臣の認可(≠許可)
住宅金融支援機構の直接融資における高齢者に対するお情けを二つ説明せよ
- 高齢者が自ら住居する場合のリフォーム資金はOK
- 高齢者が死亡するまでは利息のみを返済すればOK(残りは相続人に押し付けて一括返済)
公示価格
許可と認可の違いは何か
- 許可:原則禁止のルールで例外を認めるための行為
- 認可:原則OKのルールで正常利用を認めるための行為
公示価格の決定プロセスを簡単に説明せよ
土地鑑定委員会が標準地を決定し,二人以上の不動産鑑定士に評価してもらった価格を官報に公示し,関係市町村長に送付する。
不当景品類及び不当表示防止法
不当景品とみなされないラインは何か
- 取引価格の10%以下,かつ100万円以下の場合
- 登記費用や保険料を業者が負担する場合
傾斜地に関する情報で不当表示とみなされるラインは何か
- 傾斜地をおおむね30%以上含む土地の広告で,その割合または面積を明示しない場合
広告の駅徒歩は分速何mで計算するべきか
分速80m
税法
全体観
問われる国税/都道府県税/市町村税の覚え方を述べよ
土地建物だけでなく細かな固定資産にも課税される固定資産税は市町村税に分類される。宅建士の取り扱いは都道府県知事が管理しているイメージから,不動産取得税は都道府県税に分類されると覚えてしまう。残りの所得税/登録免許税/印紙税/相続税/贈与税は国税となる。
不動産取得税
不動産取得税の標準税率を述べよ
- 住宅・土地:3%
- 住宅以外の建物:4%
住宅は1%優遇されると覚えましょう。ただし,土地は問答無用で3%です。
不動産取得税の特例を述べよ
- 土地:宅地を取得した場合には,課税標準が1/2になる
- 建物:床面積が[50㎡,240㎡]で新築の場合には,課税標準が1200万円引きになる
土地はキリの良い1/2と理解し,建物(家屋)はファミリー向けだがあまりにも大きすぎない面積として[50㎡,240㎡]を押さえてしまい,価格の1200万円は気合いで覚える。1000万円だと足りないよねという感覚。
新築後どのくらいの期間経過すれば新築した者に不動産取得税が課されるか
- 素人:6ヶ月
- 業者:1年
業者の方がスケールが大きいため1年と優遇されていると覚えましょう。
不動産取得税の免税点を述べよ
- 土地:10万円
- 建物(売買・交換・贈与):12万円
- 建物(新築・増改築):23万円
土地はキリの良い10,建物は売買→新築の連番で12→23と覚えましょう。
固定資産税
固定資産税の納税義務者の例外を述べよ
固定資産課税台帳上の所有者が納税義務者となるが,土地については次の二通りの例外がある。
- 質権が設定されている場合は質権者
- 100年より永い地上権が設定されている場合は地上権者
固定資産税の税率を述べよ
1.4%
固定資産税の課税標準の決め方を述べよ
法務大臣が定めた固定資産評価基準に基づき,市町村長が固定資産評価員に毎年少なくとも一回は調査させて得られる額を採用する。
固定資産税の課税標準に関する特例を述べよ
- 土地:宅地で200㎡以下の部分は1/6,200㎡を超える部分は1/3になる
- 建物:床面積が[50㎡,280㎡]で新築の場合には,3年間120㎡以下の部分が1/2になる
建物に関しては「三階建て以上の中高層耐火建築物等の場合は5年間」のような例外もありますが,余力があれば覚えるスタンスでよいでしょう。細かな値が不動産取得税と異なる点が少し気持ち悪いですが,土地はキリの良い数字,建物の床面積は[50㎡,240㎡]と似通った数字であることに注目して覚えてしまいましょう。
固定資産税の免税点を述べよ
- 土地:30万円
- 建物:20万円
不動産取得税の10→12→23と異なるため気持ち悪いですが,建物(家屋)が優遇されることから30→20と連番で覚えてしまいましょう。
所得税
問われる所得税を説明せよ
譲渡による所得。2000万円で買った(贈与された)土地を3000万円で売った場合,差額の1000万円が譲渡所得となる。
譲渡所得の税率を説明せよ
- 土地建物の所有期間が5年以下:30%
- 土地建物の所有期間が5年超え:15%
- 住宅用土地建物の所有期間が10年以上:6000万円以下は10%,6000万円超えの部分は15%
30%未満の税率は軽減税率となり「長期譲渡所得の軽減税率」とよばれています。短期の投機的な取引による不動産価格高騰を抑えつつ,適度に不動産を流通させる仕組みです。
譲渡所得の特例を二つ挙げ,それぞれを説明せよ
- 住居用財産の3000万円特別控除
-
住居用財産の譲渡では所得金額から3000万円が控除される
- 特定の住居用財産の買換え特例
-
住居用土地建物を売って別の住宅用土地建物に買換えるとき,以下の要件を満たす場合に支出が超える部分のみ課税される
- 所有期間:10年超え
- 居住期間:10年以上
- 売買価格:1億円以下
- 土地面積:500㎡以下
- 建物床面積:50㎡以上
「ジジ(所有10年超え・居住10年以上)はいい(売却価格1億)頃に売って午後(土地面積500㎡以下・床面積50㎡以上)買った」と覚えましょう。また,一定の耐火建築物以外のものである場合は建築後年数が25年以内であるか,新耐震基準に適合するものである必要がある。基本的には新耐震基準であるから問題ないが,25年という数字は午後の5×5の語呂合わせに対して整合性があるため併せて覚えられます。
その他の特例を述べよ
- 住宅ローン減税
-
居住用土地建物で10年以上のローンに対して取得税から一定額控除される
- 新築:13年間・上限3000万円
- 中古:10年間・上限2000万円
所得が2000万円以下であることが条件ですが,重箱の隅であるため覚える必要はないでしょう。更に建物の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は所得が1000万円以下であることが条件となりますが,こちらも重箱の隅であるため覚える必要はないでしょう。
- 優良住宅地の土地譲渡に関する軽減税率
-
所有期間が5年を超える土地(≠建物)を優良住宅地のために国・地方公共団体に譲渡した場合,次の軽減税率が適用される。
- 2000万円以下の部分:10%
- 2000万円超えの部分:15%
- 収用の5000万円特別控除
-
土地建物(≠居住用)が強制的に収用された場合は5000万円が控除される
譲渡所得の税率と特例の関係を説明せよ
基本的に軽減税率と特例は併用できないが,次の二つのパターンのみ併用可能となる。
- パターン1:長期譲渡所得の軽減税率+居住用財産の3000万円特別控除
- パターン2:長期譲渡所得の軽減税率+収用の5000万円特別控除
長期譲渡所得の軽減税率が併用可能なパターンに含まれていることを押さえましょう。
3000万円特別控除を受けられないケースを挙げよ
- 配偶者および直系血族
- 前年または前々年に3000万円特別控除を受けている場合
- 収用の5000万円特別控除を受けている場合
登録免許税
登録免許税の納付方法は何か
- 3万円以下:現金納付 or 印入印紙
- 3万円超え:現金納付
登録免許税の軽減措置を説明せよ
住宅用家屋の売買・競売について,
- 目的が個人が自分で住むため
- 床面積が50㎡かつ新築・取得後1年以内に登記する場合
- 中古の保存登記でない場合
に限り軽減措置が適用される。土地には適用されない。具体的な内容は覚える必要はない。
特に中古の保存登記には軽減措置が適用されない点に注意してください。
印紙税
土地の賃貸借契約書の課税金額は何を基準に定まるか
契約書に記載された権利金
賃料ではない点に注意しましょう。
建物の賃貸借契約書の課税金額は何を基準に定まるか
建物の賃貸借契約書はそもそも課税文書ではない
複数の売買契約書の課税金額は何を基準に定まるか
合計金額
交換契約書の課税金額は何を基準に定まるか
高い方の金額
差額に対して課税される買換え特例と混同しないように注意しましょう。
領収書は課税文書か
プロが作成した領収書で5万円の場合は課税文書となる
その他の税
個人・法人間で贈与税が課される取引を述べよ
個人と個人間の取引のみ贈与税が課される。
法人→個人は所得税が課され,それ以外の法人が贈与を受ける取引は法人税が課されます。
相続時清算課税制度の特例を説明せよ
特定の条件(暗記パート参照)を満たす場合に,贈与を非課税にする代わりに相続税にシワを寄せる特例。
相続時清算課税制度の特例で用いられる条件とその税率を説明せよ
- 贈与を受ける者が18歳以上
- 用途は自己用の住宅資金
- 取得する住宅の床面積は40㎡で耐震基準に適合していること
を満たす場合に2500万円までは非課税となり,超える部分についてのみ20%課税となる制度。納付金額自体は相続時に清算できる。若い頃に健全な借金をできるイメージ。
厳密には「自己用」は「床面積の1/2以上」であればOKなのですが,重箱の隅であるため覚えなくてもよいでしょう。
統計問題
新設住宅着工戸数について,令和4年と令和5年を比較せよ
3年ぶりの減少。前年比4.6%減の82万戸。持家・貸家・分譲住宅のいずれも減少している。
新設住宅着工床面積について,令和4年と令和5年を比較せよ
2年連続の減少。前年比7.0%減の64,178,000㎡。
地価の全国平均について,令和4年と令和5年を比較せよ
全用途・住宅地・商業地はいずれも3年連続の上昇,工業地は8年連続の上昇。
地価の三大都市平均について,令和4年と令和5年を比較せよ
全用途・住宅地・商業地はいずれも3年連続の上昇,工業地は10年連続の上昇。
地価の地方都市平均について,令和4年と令和5年を比較せよ
全用途・住宅地・商業地はいずれも3年連続の上昇,工業地は7年連続の上昇。
土地の売買による所有権の移転登記件数について,令和4年と令和5年を比較せよ
ほぼ横ばい。約129万件。
令和4年における全国の宅地面積を述べよ
約197万ヘクタール。国土面積の約5%。
不動産業の売上高について,令和3年と令和4年を比較せよ
2年ぶりの減少。前年比で4.8%減少。
不動産業の経常利益について,令和3年と令和4年を比較せよ
3年ぶりの減少。前年比で2.0%減少。
不動産業の売上高経常利益率について,令和3年と令和4年を比較せよ
3年連続の増加。
不動産業の営業利益について,令和3年と令和4年を比較せよ
3年ぶりの減少。
宅建業者数について,令和4年と令和5年を比較せよ
9年連続の増加。前年比0.8%増加。
2024年に改正があった法律で注意すべきポイント
相続登記の義務化を説明せよ
相続開始により所有権を取得したことを知った日から3年以内の相続登記が義務化された。違反すると10万円以下の過料。
相続人申告登記制度を説明せよ
相続登記が義務化されたとはいえ,相続の登記がスムーズに行われないケースも多いだろう。そこで,相続人が独立して登記官に申し出ることにより相続登記の義務を履行したことにさせてもらえる相続人申告登記制度が始まった。
重要事項説明で鉄筋コンクリート造の建物状況調査は何年以内であれば説明対象となるか
2年。参考書等には1年という古い情報が書いてあるため注意する。
相続土地国庫帰属法を説明せよ
所有者不明の土地を相続のタイミングで国庫に属させるための手続きを定めた法律。相続で取得した土地について10年分の管理に必要とされる費用を支払うことにより国庫に帰属させることができる。ただし,
- 建物付きの土地
- 担保件等が設定されている土地
- 他人の使用が予定される土地
- 特定有害物質に汚染されている土地
- 私道を含む土地
- 境界が不明な土地
- 管理に必要以上の費用がかかると見込まれる土地
は申請できない。
問題演習で引っかかったポイント
義務と強制は同義か
同義。任意であることは「努めなければならない」と表現する。
譲渡した家屋に買換え特例は適用できるか
できない。あくまでも売却→購入の買換えを行った場合のみ適用できる。
賃貸住宅の建設・購入向けの貸付債権は住宅金融支援機構の譲受けの対象となるか
対象にならない
住宅融資保険とは何か
住宅金融支援機構が銀行の破産という最悪の自体に備えて保証してくれる保険
マンションの販売広告では1住戸当たりの月額最低額および最高額を表示すれば良いケースがあるか
ある。販売物件数が10以上であれば最頻価格帯とその数も表示する必要があるが,その場合でも管理費・共益費・修繕積立金・賃料については最低額と最高額を記載すればよい。
「新築」と「6ヶ月」がリンクするルールは何か
不動産取得税で新築が課税対象となる期間の定め。広告で新築が新築と名乗れなくなるのは1年未満かつ未使用の場合。
広告には住宅ローンの融資上限額は明記する必要があるか
必要ない
公園名を名称に使えるのは物件から何m以内にその公園が存在する場合か
300m
全区画の土地面積と私道負担面積を書かなくてはならない媒体は何か
パンフレット。チラシやインターネット広告は最小面積と最大面積のみの表示でOK。
組積式構造とは何か
レンガ(煉瓦)作りのイメージ。耐震性は劣るが断熱や防音効果に優れている。
相続・贈与・合併で不動産取得税は取られるか
- 相続/合併:取られない
- 贈与:取られる
宅地の不動産取得税では課税所得は軽減されるか
1/2になる
区分所有の固定資産税は連帯して納税義務を負うか
単独で負う。連帯ではない。
市町村は1.4%を超える固定資産税を設定できるか
設定できる
贈与の譲渡金額は時価で決めるか
違う。贈与者の取得金額となる。遡る。
登録免許税は登記する者が複数の場合は連帯納付義務を負うか
負う
登録免許税の軽減措置は贈与に適用できるか
できない。売買と競売だけ。
登録免許税の軽減措置を受けるには,いつまでに誰の何が必要か
取得後1年以内に所有権移転登記をして,住宅が条件を満たすこと(例えば50㎡以上など)の証明書を市町村長からもらって添付する必要がある
委任に関する契約書に印紙税は発生するか
発生しない
自白しない印紙税の過怠にはペナルティは発生するか
発生する。ペナルティ分だけで本来払う額の二倍,つまり全体で三倍の過怠税(印紙税+ペナルティ)を払う必要がある。自白の場合は1.1倍の過怠税で済む。
手付金の二倍と混同しないように注意してください。
仮契約書に印紙税は発生するか
発生する
印紙税の課税対象は税抜で考えるか,税込で考えるか
税抜
業者が作った不動産仲介料38,500円の領収書には印紙税はかかるか
5万円以下であるためかからない。
贈与の契約書には印紙税はかかるか
かかる。記載金額のない契約書とみなされ,200円の印紙税がかかる。
語呂まとめ
買換え特例に関する語呂
ジジ(所有10年超え・居住10年以上)はいい(売却価格1億)頃に売って午後(土地面積500㎡以下・床面積50㎡以上)買った
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